「心は女性」の学生を女子大が受け入れる意味(東洋経済オンライン)



7/14(土) 6:00配信

東洋経済オンライン

 7月10日、お茶の水女子大学は、戸籍上は男性でも性別を女性と認識しているトランスジェンダーの学生を2020年度から受け入れるという決定について記者会見を行った。そこで、この決定の背景について国内外の視点から考えてみたい。

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 アメリカでは、筆者がフルブライトの客員研究員としてウェルズリー大学に滞在していた2013年から2014年にかけて、「セブンシスターズ」と呼ばれる歴史的に重要な女子大学(現在も女子大学を維持しているのは5校:バーナード、ブリンマー、マウントホリヨーク、スミス、ウェルズリー)が、同様の課題に取り組んでいた。

 全米で注目されるようになった一つのきっかけは、2013年にスミス大学に出願していたカライオピー・ウォン(Calliope Wong)が、連邦政府の学費援助の申請書類に記載する性別欄で男性を選択していたため、大学が入学出願者の対象から除外したことだった。

■アメリカの女子大は4年前には受け入れ表明

 スミス大学の在学生が、この決定に対して激しい反対運動を展開し、大きく報道されることとなった。

 結局、ウォンは他大学に入学したのだが、本事例は、トランスジェンダー学生の受け入れがどの女子大学にも共通する課題であることを顕在化させる役割を果たした。

 アメリカ教育省は2014年4月29日、教育機関での性差別を禁じた法・タイトルIX(1972年制定)によって、トランスジェンダー学生が差別から守られなければならないと発表した。

 この発表に後押しされた形で、マウントホリヨーク、ブリンマー、ウェルズリー、スミス、バーナードの各大学が、2014年から2015年にかけて次々に、出生時に男性とされたが女性と性自認をする「MTF(Male to Female)」のトランスジェンダー学生を受け入れるアドミッションポリシーをウェブサイトに公開した。

 21世紀においても躍進するアメリカの女子大学に共通する特徴は、性的マイノリティの権利保障を含む人権、環境、平和など、あらゆる社会正義(Social Justice)への深いコミットメントにある。

 これらの女子大学は、19世紀後半、市民としての諸権利が女性に認められていなかった時代に創設された女性のための高等教育機関であるからこそ、性(性別に加え、性指向・性自認)、人種、民族、階級、宗教、国籍、地域、障害などによる差別や偏見を撤廃し、ガラスの天井を打ち破る社会変革の推進力となる女性の輩出に尽力してきた長い歴史を有している。

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