従業員持ち株会で株を買うと損しやすい理由(東洋経済オンライン)



7/13(金) 8:00配信

東洋経済オンライン

 メルカリが東証のマザーズ市場でIPO(新規株式公開)を実施(6月19日)、「LINEに次ぐ大型IPO」ということで話題になってからほぼ1カ月。これを見ていて私が思い出したのは2000年代前半に起きたITバブルです。ネット関連のベンチャーが次々とIPOし、株価もどんどん値上がりして、新興系企業の創業社長だけでなく従業員も相当儲かったからです。

 社長などのオーナーは当然のこととして従業員も会社の「持ち株会」を通じて購入した自己株の値上がりで多大な利益を得ていたのが特徴です。中には20代前半で数千万円を手にする会社の社員が結構いたことを記憶しています。

 一方で同じ持ち株会でも入社した企業が成熟企業で、会社が積立金に5%や10%の奨励金をつけてくれているにもかかわらず、株価が取得コストをまったく上回らないというケースも珍しくありません。恥ずかしながら私自身もその1人で、当時勤務していた企業の持ち株会を通して購入した株式は、いまだ取得コストの半値以下のままです。ところがスタート以来ずっと右肩下がりであったかと言えばそういうわけでもなく、それなりに利益が出ていた時期もありました。つまり、売り逃してしまったのです。

■勤め先の会社の株に「根拠のない安心感」を持つな

 「それは単に下手なだけだろう」といって笑われるかもしれません。しかし、実は自分の会社の株というものは一般の株式に比べて売るべきタイミングを逃しやすい理由が主に2つあります。自己株投資の多くは「従業員持ち株会」を通じて行われていますので、買い付けについては定額投資ですからタイミングを考える必要はありません。ところが売り時についてはそのタイミングを自分で判断しなければならないため、十分な注意が必要です。

 1つ目の理由は行動経済学でいう、「利用可能性ヒューリスティック」といわれるものです。人間は物事を判断するときに、自分が知っている、あるいは取り出しやすい情報のみを使って、直感に頼りがちになる傾向があるのだそうです。

 これを持ち株会での投資に当てはめてみましょう。あらゆる投資対象の中で、自分が勤めている会社ほど身近な存在はありません。そのため、本来はリスク資産であるにもかかわらず、根拠のない安心感を持ってしまいがちなのです。つまり、今後の株価見通し、つまり企業収益を冷徹にみることができないことによって、株価が割高になっていても気づかず、売り時を逃がしやすいということです。

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