保育園無償化が効果ゼロに終わる3つの理由(東洋経済オンライン)



7/13(金) 5:00配信

東洋経済オンライン

2019年10月から始まる幼児教育・保育の無償化。3~5歳児の全員と住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に実施するという。だが、この政策には批判も多い。幼児教育に詳しい秋田喜代美・東大大学院教授が解説する。
 幼児教育の無償化政策は、幼児期の教育がその後の学校教育だけではなく、成人以降の職業や生活満足などにも影響を与えることが明らかにされて以来、国際的にもホットなトピックである。

 乳幼児期の教育政策に関するプロジェクトは、OECD(経済協力開発機構)加盟国代表が行うランキングでも、2030年の教育を考えるプロジェクトに続く第2位となり、教育政策として極めて重要な論点となっている。

 2018年5月には、ルクセンブルク政府とOECDの幼児教育ネットワークが会合を開き、21世紀に求められるコンピテンシー(汎用能力)の育成のためには、どのようなカリキュラムを考えるのが必要であるのかが議論された。同じ月には、フランス・パリにあるOECD本部で、幼児期の教育と小学校教育の教育をどのように接続するのかも議論された。

 こうした動向を踏まえるならば、日本における幼児教育の無償化は、国際的に見ても、必要かつ重要な政策であるのは間違いない。しかしながら、多くの人がすでに指摘しているように、問題はその条件にある。

■他国に比べ無償化対象時間が長い

 第1に、対象とする時間である。

 日本では、保育標準時間(1日11時間)までの無償を想定しているが、端的にいって長すぎる。

 一方、先進的に幼児教育無償化を進めたイギリスでは、週30時間年38週の無償化となっている。フランスでも「幼児教育の時間」とされる時間以外は、保護者から保育料を徴収している。他の欧州各国でも英仏同様である。

 日本と同じように保育標準時間までの無償を想定しているのは韓国だけである。

 現在のように1日当たり11時間を無償化するのではなく、短時間と長時間での無償化によって、どのような効果に違いがあるかを明確にし、長時間の無償化にかかる経費を削減し、それらを質の向上に回すべきである。

 小学校教育でも授業の時間数が問題とされるように、子どもにとって教育の効用を考えるときには、教育をする「意味ある時間」というのが重要な要因である。

 第2に、対象となる施設範囲である。

 今回、幼児期のナショナルカリキュラムである「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」では、3歳以上の教育内容について整合性が図られ、ほぼ同一の内容となっている。

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