ガムを噛みながら… 受付嬢は見た 就活生が人事には見せない「非常識な一面」(SankeiBiz)



 私が受付嬢をしていた頃、その会社の社員から「さすが周りをよく見ているよね」と言われていました。受付嬢にとって、お客様や社員の「顔と名前」を覚えることは基本であり最も重要な仕事です。ですので、受付嬢は彼らのことをよく覚えるために周りを観察するというクセがつきます。

 意外かもしれませんが、人の顔と名前を覚えられないと受付嬢としての仕事が何もできなくなるのです。私たちの仕事は「●●さん、▲▲社の××様がいらっしゃいました」と社員に連絡をして終わりではなく、社員とお客様が快適に打ち合わせを始められるようアシストし、お客様に気持ちよく帰っていただくまでの全てのプロセスに関わっています。

 例えば…

・「あのお客様、もう10分待っている」→担当者社員にもう一度連絡する

・社員が初めて会うお客様の場合、どなたがお客様か伝えられるようにしておく

・とある社員は毎回お客様を10分近く待たせるので、早めに取り次ぎを行う

といったように社員ごとに来客対応をアレンジしたり、お客様と社員がスムーズに面会できるよう取り次いだりしています。

 このように、常にアンテナを張っている私たちのところは、社員から“調査依頼”が舞い込みます。今回お話させていただくのは、面接に来た学生さんたちへの“調査”。人事担当者の代わりに、受付嬢が目を光らせていることもあるんですよ。

◆ガムを噛みながら受付…実際にいた非常識な就活生

 【調査依頼1】「面接に来た学生の振る舞いを見てほしい」

 就活生が面接官に礼儀正しくするのは当たり前です。でも、面接官が本当に見たいのは、学生の「よそ行きの姿」じゃなくて「普段の姿」ですよね。「受付なら“素”が出るのでは……」と考えた人事担当者から、受付で学生がどのような態度を取っているかを採用の判断基準にしたいと協力要請があったのです。

 そう、実は、企業の受付は就活生の「素」が出やすい現場なんです。私自身、学生さんたちの目を疑うような光景に何度も出くわしました。

 例えば、ガムを噛みながら受付に来て、入館手続きをする学生がいました。そんな非常識な学生はいないだろうと思われるかもしれませんが、実際にいるのです。もちろん人事担当者が来る前に口の中にあるガムは出していましたが、「“本丸”の人事担当者や面接官ではなく、受付嬢相手なら選考に響かないだろう」というのは、なんとも脇が甘い……。面接官の前ではニコニコ礼儀正しくても、受付ではだらしない姿を見せる学生を採用するほど、企業も人事もバカではありません。

 一流企業は、学生一人を雇うのにも徹底した社内調査を行っています。人事担当者たちは、自分たちの目が届かないところでも他の人の目を使って見ているのです。残念ながら、その学生は面接を通過することができませんでした。受付以外の場面でも、だらしなさや清潔感のなさが見えたそうです。会社の敷地に入ったら「すれ違う人全員が面接官」と思っても、思い過ぎではないのかもしれませんね。

◆「これぐらい大丈夫っしょ!」 本番前に気が緩む学生

 【調査依頼2】「学生の協調性を確認するために……」

 新卒採用において定番の選考方法と言えば「集団面接」と「グループディスカッション」。コミュニケーション能力や協調性が判断できるため導入している企業も多いと思います。

 実は、集団面接は待合スペースから始まっています。

 人事担当者からは、面接室に案内するまでの間、学生たちが待合スペースでどのような行動を取っているか見ていてほしいと言われました。前述の【調査依頼1】と違う点は、受付対応ではなく待合スペースでの行動。学生同士でどうコミュニケーションを取るのか観察していました。

 新卒採用では「面接本番になるとみんな同じことしか言わない」などとよく聞きますが、同じ面接を受ける就活生が隣にいてもスマホに没頭する学生もいれば、積極的に話しかけて場を和ませる社交的な学生まで、「本番前」と思い込んでいる学生の態度はさまざまです。

 一方で、ここでも気が緩んでしまう学生がいます。「どこの業界受けてる?」「俺は●●社と……」「あそこは2次通過したよ」なんて会話が弾み、待合スペースでうるさくする学生です。ひどいときは他のお客様の迷惑になるほど騒ぐため、受付から注意したこともありました。盲点だったのは、一緒に面接を受ける、いわばライバルでもある学生に対して好意的に接しているかということも確認するよう言われたこと。たとえ静かに待っていたとしても、ツンケンしたオーラを放っていたらNGなのです。

 「ちょっと騒いじゃったかな(笑)」「人事もいないし、お互い面接うまく答えられたし、大丈夫っしょ!」というのはお粗末です。企業の人事担当の方も、ためしに受付に聞いてみるといいかもしれないですね。

 一方、受付にいると、ちょっとした“ドラマ”を見ることもあるんです。次回は、栄転した取引先の担当者にお礼したいという社員に、受付嬢が“ある協力”をしたお話をしますね。

【プロフィル】橋本真里子

はしもと・まりこ ディライテッド株式会社代表取締役CEO。1981年11月生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。11年という企業受付の現場の経験を生かし、もっと幅広い受付の効率化を目指し、16年1月にディライテッド株式会社を設立。17年1月に、クラウド型受付システムRECEPTIONISTをリリース。



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