中国の研究者、専門家の間で広がる「中国周辺学」は成立するか(SankeiBiz)



 「中国周辺学という学問を創るべきだ」との声が、中国の研究者、専門家の間で広がっている。「一帯一路」戦略などが示すように、習近平政権の周辺外交重視が背景にある。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 中国の国際問題専門誌「世界知識」は先ごろ、「中国周辺学」について特集し、上海・復旦大学の「中国・周辺国家関係研究センター」をはじめ、多くの研究機関の研究者が、中国周辺学の確立を積極的に追求していると述べ、それは現実的にも理論的にも重要な意義があると強調している。

 年に1回開かれる全国人民代表大会(国会に相当)における首相の政府活動報告を見ると、近隣諸国を意味する「周辺国」という言葉が政府活動報告に初めて登場したのは1988年である。しかし、翌89年の政府活動報告には見られないなど、周辺国という表現はすぐには定着しなかった。

 92年に開かれた共産党の第14回大会で、江沢民が読み上げた政治報告は、世界を周辺国、発展途上国、西側先進国に分けて、中国外交を論じている。周辺国という表現が定着するのはそれ以降で、これに伴い、頻繁に使われていた「第三世界」という表現が消えている。

 また、「周辺外交」という言葉が政府活動報告に初めて登場するのは2006年である。そして、大国、周辺国、発展途上国という現在の分け方が政府活動報告で定着するのは10年で、それ以前は、大国ではなく、西側諸国や先進国という言葉が使われていた。

 もっとも、中国外務省が毎年、編集・出版している外交白書「中国外交」では、03年の中国外交を論じた04年版で、すでに大国、周辺国、発展途上国の分け方を採用している。周辺外交という表現も05年版に登場している。大国という表現の登場は中国の台頭、中国の大国化と密接に関わっているといえよう。

 習近平時代になって、以前にもまして周辺外交が重視されており、13年には「周辺外交活動座談会」が開催された。最高指導部を構成する党中央政治局常務委員7人全員が出席して、周辺外交をテーマとする会議が開かれたのは、過去に例のないことだった。

 この会議で演説した習近平は、「親、誠、恵、容」(親睦、誠実、恩恵、包容)を理念として、周辺外交を積極的に進めるよう訴えた。この理念は昨年秋の党大会における政治報告でも強調されている。(敬称略)

【関連記事】

Related Post



コメントを残す