マネロン対策、苦慮の地銀 コスト減・ノウハウ求め他行へ委託の動き(SankeiBiz)



 マネーロンダリング(資金洗浄)対策が地方銀行の経営の重しになっている。2019年に国際組織による審査を控え、金融庁は今年度内に対策が不十分な地銀や信用金庫への立ち入り検査を検討。ただ、地銀は低金利や人口減少で収支悪化に苦しむ中、監視体制の整備に苦慮しており、他行に対策を委託する動きも出始めた。

 「各行が競い合う話ではなく、日本全体で力を合わせるべき課題だ。モニタリングの仕方や諸外国の状況など知恵を出し合いたい」

 全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は13日、就任後初の記者会見で資金洗浄対策を業界全体で進める考えを示した。

 多額の入出金が突然行われていないか、顧客の送金目的やその金額に不合理な点がないかなど、資金洗浄が疑われる不自然な取引に適切な対応ができるかが課題だ。金融業界では4月に全国銀行協会や地銀協、信金、金融庁、警察庁などの担当者による官民連絡会を設置し対策を進めている。

 念頭にあるのが国際組織「金融活動作業部会(FATF)」の動きだ。14年には日本にテロ資金対策の不備を迅速に解消するよう促す声明を発表しているため審査は厳しいものになりそうで、各行は戦々恐々だ。

 地銀は大手銀行に比べ人員や予算で余裕がない上、ノウハウも乏しく、「対策チームは作ったがどこまでやればFATFの理解を得られるか分からない」(地銀大手幹部)と困惑の声も漏れる。昨年度には西日本の地銀で北朝鮮が関与した資金洗浄が疑われる海外送金事案も発生しており、監視体制が弱い一部の地銀は狙われやすい状況にある。

 とはいえ、地銀決算は減益が相次ぐ厳しい状況で、収益に直接結びつかない資金洗浄対策は後回しになりがちだ。このため、セブン銀行は今春、取引履歴などのビッグデータを活用して、不審なお金のやりとりを把握するノウハウを生かし、他行の口座での不正取引を監視するサービスを開始。荘内銀行(山形県)と北都銀行(秋田県)を傘下に持つフィデアホールディングスなど既に複数の地銀から委託を受けた。

 「金融犯罪の手口は巧妙化しており、恒常的に追加対策が求められる。『引き受けてくれるならお願いしたい』という声が強い」(セブン銀幹部)という。

 複数行の対策をまとめて行えばコスト削減にもつながるため、こうした動きが今後広がる可能性がある。(田辺裕晶)

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