渋谷駅「埼京線ホーム」が遠く離れているワケ(東洋経済オンライン)



6/14(木) 5:00配信

東洋経済オンライン

 渋谷駅の中央改札から埼京線に乗ろうとすると、駅の案内には「埼京線ホームはこの先約270mです」と書かれている。

【写真】埼京線ホーム側にある渋谷駅新南口。ほかの路線からは遠く離れている

 270mといえば、湘南新宿ライン15両分よりは短いものの、山手線11両分より長い。一つの列車の端から端まで歩かなければならない距離である。しかも、たどりつくのはホームの端っこだ。乗車する車両のところまで行くには、さらに歩かなければならない。湘南新宿ラインのグリーン車や、成田エクスプレスの指定された座席の車両など、「まだ歩くの?」と感じてもおかしくはない。以前は通路に「動く歩道」があったが、駅改良工事のため使用を中止した。

■2020年にはホームが並ぶ

 渋谷駅埼京線ホームへ向かう通路には、「2020並ぶぜ!! ホーム」というポスターが貼ってあり、2020年に埼京線ホームが現在の位置から350m北側に移動することが記されている。将来は、現在の山手線ホームの横に埼京線ホームが移設される。

 そのプロセスの中で、5月26日・27日と6月2日・3日には、埼京線と湘南新宿ラインを運休させて「渋谷駅線路切換工事」が行われた。

 しかし、「並ぶぜ!!」という前に、そもそも埼京線ホームはなぜこんなに他の路線から離れた位置につくられたのだろうか。

 現在、埼京線や湘南新宿ラインが走っている線路は、本来は「山手貨物線」だ。かつて渋谷駅埼京線ホームのあたりには貨物線の渋谷駅があった。簡単に言えば、その跡地を利用したというのが、埼京線ホームが現在地につくられた理由である。

 渋谷駅が1885年に開業した当初、駅はこの貨物駅の場所にあった。1920年には輸送量の増加で複々線化され、もともとの線路が貨物線、新しくつくられた線路が山手線の電車が走る旅客用の線路となった。この際に旅客駅は現在の山手線の位置に移動したが、貨物駅はそのままの位置に残った。

■貨物線を利用した埼京線

 貨物線はその後も首都圏の物流を支えてきたが、1980年10月1日に山手貨物線の渋谷駅は廃止され、それ以降は単に通過するだけの場所となっていた。また、1973年に首都圏の外周を走る武蔵野線が一部開業すると、貨物列車の大半が武蔵野線経由に移行し、山手貨物線をどうするかが議論になっていた。

 1973年1月5日の『朝日新聞』朝刊では、山手貨物線を今後どうするかについての記事が掲載されており、新幹線に使用する、山手線快速列車を走らせる、高崎線を乗り入れさせる……など、さまざまな方法で旅客利用の案が練られていたことが報じられている。1983年には、東京都が山手貨物線の池袋以南を旅客化し、当時建設が進んでいた通勤別線(埼京線)を大崎方面に延伸することを要望している。

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