マクロ経済の成長と人口(東洋経済オンライン)



6/4(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 日本の将来人口は、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに100年先までを見通して推計している。最新の推計は2017年4月に出された。新推計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数が現在と変わらなければ、日本の人口は2053年に1億人を割り、およそ半世紀後の2065年に8808万人、さらに100年後の2115年には5056万人まで減少していく(出生中位)。今から100年前の日本の人口は5500万人(1918年、大正7年)だったから、この国は100年かけて人口を7000万人増やし、これから100年かけて今後は7000万人減らして100年前の姿に戻るというわけだ。

人口と実質GDP(国内総生産)の推移を比較

 急激な人口減少と並行して高齢化率(65歳以上が全人口に占める割合)も上昇していく。これがさまざまな問題を日本の経済や社会に生み出すことは、よく知られているとおりだ。すでに顕在化している深刻な問題としては、財政・社会保障に与える影響、そして地域社会に与える影響、いわゆる「消える市町村」などが挙げられる。

 高齢化により年金・医療・介護保険など社会保障の給付は膨らむ一方、少子化で支え手のほうは減っていく。社会保障のファイナンスは当然難しくなる。今年度に入り、この4月から65歳以上の人が支払う介護保険料は全国平均で6%引き上げられ、月額5800円になった。介護保険制度が始まった18年前に比べ保険料は2倍になった。地域によるばらつきも大きく、最も低い北海道音威子府(おといねっぷ)村の3000円と、最も高い福島県葛尾村の9800円の間には3倍以上の開きがある。今後も団塊世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となる2025年度には、全国平均で7200円、さらに2040年には9200円と保険料は上がり続ける見込みである。

■共有される「人口減少=マイナス成長」

このように人口減少と高齢化は、たしかに日本の経済・社会に深刻な問題を生み出している。しかしその一方で、人口が減り働き手の数が減っていくのだから、日本経済のこれからの成長率はよくてゼロ、自然に考えればマイナス成長だろう、というような考えが広く共有されている。こうした考えは誤りである。このことをメインメッセージとして『人口と日本経済』(中公新書)という本を2年前に書いたところ、幸い多くの読者に迎えられたが、その中でいくつか真っ当な疑問が寄せられた。ここでは、そのうちの1つを取り上げ考えてみることにしたい。

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