「世界最大債権国」日本、直接投資急拡大の必然(東洋経済オンライン)



6/4(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 イタリア危機が冷めやらぬ中、例によって為替市場における「安全資産としての円」を求める動きは健在である。この論点に関しては賛否からいろいろな議論がありうるが、最も説得的なデータが5月25日、財務省から発表されているので取り上げておきたい。

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 財務省が明らかにした2017年末の「本邦対外資産負債残高の状況」によれば、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は、前年比マイナス2.3%の328兆4470億円と3年連続で減少したものの、27年連続で世界最大の対外債権国という座を維持している。

 海外投資家による対内証券投資が急増したため負債項目が膨らんだことが純資産を押し下げたが、資産側もクロスボーダーM&Aや海外株式投資を中心として対外直接投資や対外証券投資が前年比で大きく増加している。

 政府債務が先進国中最悪の状況にあっても「安全資産としての円」の地位が揺らいでいないのはこうした対外債権国としての盤石のステータスが評価されているからにほかならず、まさに本領発揮ともいえる計数である。だが、日本の抱える対外純資産をめぐってはそれを構成する項目と主要国と比較した際の相対的地位に近年大きな動きが見られるので、この点を詳しく議論してみたい。

■変わる対外純資産の構造

 項目別に見れば、対外資産残高は前年比プラス2.7%の1012兆4310億円だった。本邦企業によるクロスボーダーM&Aが旺盛な勢いにあるのは周知の通りであり、直接投資は同プラス10.0%の174兆6990億円へと増加した。これに次いで証券投資が同プラス5.0%の463兆4170億円と増加しており、これは特に株式・投資ファンド持分の増加にけん引された動きであった(一方、債券は同マイナス1.1%とむしろ減少しており、これは為替要因、即ち円高に引きずられた模様である)。

 後述するように、純資産ベースでは直接投資の存在感が近年増しているが、対外資産残高だけに着目すれば最も大きいのは引き続き証券投資であることには注意されたい。これは単純に為替市場で頻繁に指摘される「本邦勢によるレパトリ(自国内への資金還流)」を念頭に置いた場合、余地が大きいのは依然として直接投資よりも証券投資という事実を示唆している。とはいえ、上述したように2017年は直接投資が証券投資の倍のペースで増加しており、その勢いの差は感じられる。

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