南欧政局混迷 くすぶる金融不安、ユーロ売り加速の恐れも(産経新聞)



 先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、南欧の政局混迷も報告された。スペイン下院は首相の不信任決議案を可決。イタリアで発足したポピュリズム(大衆迎合主義)新政権は、欧州連合(EU)の財政規律路線への反発を強める可能性が高く、金融システム不安を招く懸念がくすぶる。市場の混乱が再発すれば、投資家はリスク回避を意識して欧州単一通貨のユーロを売って安全資産とされる円を買う動きを強めかねない。その場合、円高が進んで企業業績を圧迫しそうだ。(田辺裕晶)

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 「イタリアはドイツ、フランスに次ぐ経済規模を持つ。ユーロの動きを通じ世界経済に影響を与えないかよく見なければならない」

 G7に臨んだ日銀の黒田東彦総裁は5月31日(日本時間6月1日)、現地で記者団にこう述べた。

 伊新政権の発足を受け金融市場では安心感が広がっており、政局混迷で広がったユーロ売りや株価下落の動きにはひとまず歯止めがかかる可能性が高い。黒田氏も「当面大きな影響が出るとは思わない」と語る。

 ただ、先行きを懸念する声は強い。新政権は最低所得保障制度の導入など財源確保が不透明なばらまき政策を主張しており、財政規律を重視するEUと確執が起きるのは避けられない。

 三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、新政権が公約を貫いた場合、財政悪化の懸念から伊国債が売り込まれ信用格付けが引き下げられる可能性があると指摘する。国債の格付けが引き下げられれば、国内銀行が発行する社債も連動して格下げされるケースが多い。伊国内の銀行が社債格下げで資金調達難に直面すれば、政局が流動化し始めたスペインなど他の財政赤字国にも金融システム不安が広がる恐れがあり、「ユーロ売りにつながる」と説明する。

 一方、市場の警戒感は今年9月に量的緩和の期限を迎える欧州中央銀行(ECB)にも向けられている。

 ECBが量的緩和で購入した国債の保有比率でイタリアはドイツやフランスに次ぐ3位(18・9%、4月末時点)と大きい。こうした公的な“買い支え”が伊国債の価格暴落(金利急騰)を抑制した面があり、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「緩和終了を強行すれば、市場は動揺する」と指摘。欧州は債務危機から抜け出したばかりだが、揺れる政治がもたらす「新たな欧州危機」が意識され始めた。

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