「高度プロフェッショナル制度」に隠された罠(東洋経済オンライン)



6/3(日) 6:00配信

東洋経済オンライン

 安倍晋三政権が今国会での成立を目指している、いわゆる「働き方改革法案」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)が5月31日に衆院を通過した。週明けの6月4日にも、参院で審議入りする。

 今回の働き方改革法案は、多くの法律改正をまとめて1本の法律としており、それぞれの法改正の評価はさまざまだが、中でも議論を呼んでいるのが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」だ。

 正確には、労働基準法改正案41条の2でうたわれている「特定高度専門業務・成果型労働制」を指す。一定の年収要件を満たす一部の労働者について、労基法が定める労働時間規制(労働基準法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定)をすべて適用しないとする制度である。同時に、使用者には、労働者へ104日の休日付与と一定の健康確保措置を講じる義務が課されることになっている。

 高プロは労基法32条が定めている1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないという規制が適用されない。つまり、法律上の規制は1日何時間でも働かせてもよいということになる。

 使用者は、労働者がいくら長時間労働をしても残業代支払い義務がなくなる。深夜労働をした場合の割増賃金も発生しない。この点が、いわゆる管理監督者とは異なる。管理監督者の場合は、深夜労働をした場合の割増賃金の支払いに関する規定は適用除外とはなっていないからだ(労働基準法41条3号)。

 高プロについて一部報道などでは、「時間ではなく成果に応じて賃金を定める制度」などと表現されることもあるが、実際の法律案にはそのような内容は一切含まれていない。そもそも成果に応じた賃金制度は現在でも多くの企業で導入している。

 高プロ制度を導入するためには年収要件を満たした労働者でなければならないといわれており、ちまたでは「年収1075万円以上」の労働者が対象であると言われている。

「年収1000万円プレーヤーの話だから自分には関係ない」と思うビジネスパーソンが大半かもしれない。確かに現時点ではそうかもしれない。たとえば東洋経済オンラインが独自推計した「40歳年収『全国トップ500社』ランキング」(2017年10月26日配信)で見ると、40歳で年収1075万円以上をもらっていると推計される上場企業社員は21社しかない。集計対象である全上場企業約3600社の1%未満だ。今回の高プロ制度で対象になりそうな労働者は多めに見積もっても全体のせいぜい1割に満たないと考えていいだろう。

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