「売り手市場」に焦る中堅・中小企業 業種格差も鮮明 選考前倒しに拍車(産経新聞)



 平成31年春卒業予定の大学生らを対象とした経団連加盟の大手企業を中心に採用選考活動が1日、解禁された。就職戦線は学生優位の「売り手市場」が鮮明化。特に中小企業や流通、建設業界では人手不足や学生の「大手志向」を背景に有効求人倍率が10倍前後に達し、約10人の採用枠に対して学生の応募が1人にとどまる事態に陥っている。人手の確保に不安を抱く企業は多く、選考を前倒しする動きに拍車がかかっている。

 ■求人10倍前後

 「待っているだけでは学生は来ない。ルールを守ると出遅れてしまう」

 900人規模の従業員を抱える大阪市内の製造メーカーの人事担当者は、焦りを隠さない。前年実績を8人上回る20人の採用を計画し、例年より1カ月以上早い2月に選考活動をスタート。優秀な学生を確保するため、3月末以降、すでに17人に内定を出した。

 リクルートワークス研究所の調査によると、31年春卒業予定の大卒求人倍率は1・88倍と7年連続で上昇した。景気回復と人手不足が企業の採用意欲を高め、激しい人材獲得競争に発展。あおりを受けているのが中堅・中小企業だ。

 調査では、従業員数が5千人以上の大手企業の有効求人倍率が0・37倍だったのに対し、千人未満の中堅企業は3・97倍。300人未満の中小企業に限れば9・91倍となり、学生の「大手志向」が浮き彫りになっている。

 企業の採用活動を支援する大阪労働局の担当者は「従業員規模が小さい会社であればあるほど、選考時期を早めないと採用計画を満たせないという危機感が強い」と指摘する。

 ■業種格差拡大

 採用選考をめぐっては、さらに業種による格差も拡大している。

 流通や建設、製造業では求人数よりも就職希望者が少ない一方、サービス・情報や金融業では逆の傾向がある。学生優位の業種と、企業優位の業種がはっきり分かれる結果が出ている。

 リクルートワークス研究所の古屋星斗研究員は「大手企業の求人数が大幅に増えているわけではなく、学生がイメージで大手企業や特定の業種を選ぶ傾向がある。(人気の)格差の背景には、学生に対する企業の情報発信力の差もある。特に中堅・中小企業は情報発信にかけられるコストが少ない分、選考活動にはそれをカバーするような工夫が必要だ」としている。



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