ソイバーガーで「食のインバウンド対応」 菜食主義者が足を運ぶ居酒屋に行ってみた(SankeiBiz)



 インバウンド(訪日外国人旅行)-2020年の東京オリンピックを控えて、日本では右肩上りに訪日外国人の数は増加している。日本政府観光局によると、2017年の1年間の訪日外国人は前年比19.3%増の2869万1000人で、統計以降最高記録を更新した。また日本政府の訪日外国人客の拡大目標は2020年で4000万人となっている。

 それに伴い交通機関の案内図や、建物の案内板は日に日にインバウンド対応のため多言語で書き直され、英語や中国語など観光客の言語に合わせたメニューを置く飲食店も増加している。

 ただし、食の内容はインバウンド対応がまだまだ遅れている分野なのではないだろうか。海外には動物保護や環境保護、宗教上の理由等で菜食主義者として暮らす人が非常に多い。日本の菜食主義者人口は推定5%以下であるのに対し、欧州では約15%、インドでは約30%と言われている。またアメリカでは菜食主義者の人口が数年で5倍以上に増加している。

 訪日外国人の増加により菜食主義者の外国人旅行客も増加すると予想されるのに対し、菜食主義者用のメニューを用意している飲食店は少ない。菜食主義者の外国人旅行客のほうが飲食店選びに困るのは目に見えている。

 今回は街の居酒屋さんで週末のランチメニューで提供されている、肉や脂を一切使用していないソイバーガーに注目したい。ソイバーガーは外国人客に人気が高く、小さな店内にはソイバーガーを求めてやってくる外国人観光客の団体もいる。人気の秘訣は何なのか? ソイバーガーを提供する居酒屋店長の雪田隼人さん、よくソイバーガーを食べに来るアメリカ・フロリダ州出身のB.B.クラークさんにお話しを聞いてみた。

▽外国人観光客はソイバーガーをピンポイントで求めて来店する方が多い

 ソイバーガーはパテに「大豆ミート(肉によく似た大豆食品)」を使ったハンバーガーだ。また雪田さんが作るソイバーガーは卵アレルギーの方でも食べられるようにバンズも含めて、マヨネーズはもちろん卵を一切使用していない。

 肉も脂も使用していないというと菜食主義者でない人が食べると物足りなさを感じそうでもあるが、筆者が食べたところ物足りなさは全くなく、むしろ腹にガツンとたまるものだった。

 以前は雪田さんがオーナーを務めていた青森市浪岡にあるハンバーガー専門店「Niche」(現在閉店)で提供されていたものだが、現在は東京都杉並区の立ち飲み屋「ほんずなし」の土日限定のランチメニューとして提供されている。

 ソイバーガーを注文する時、まずは日本人のお客さんと外国人とでは、お客さんの注文の仕方に大きな違いがあると雪田さんは言う。

 「日本人のお客様はメニューをひと通り見てからソイバーガーを選んで注文される方が多いのに対し、外国人のお客様は来店するなりいきなり『このヘルシーフードください!』とメニューのソイバーガーを指差して注文される方が多いです」

 ランチを食べにきてメニューを見てソイバーガーを選ぶのではなく、ソイバーガーがあるから来店するのだ。これは雪田さんが以前お店を持っていた青森市でも同じ傾向があったという。菜食主義者の外国人が安心して食べられる飲食店は日本では貴重な存在なのだ。

▽菜食主義者は出汁の入った料理も食べられない

 翻訳・通訳の仕事をしているアメリカ・フロリダ州から来たB.Bクラークさん。仕事上、外国人観光客に日本の飲食店の情報を提供する機会も多い。やはり菜食主義者は多く、欧米から来る観光客の場合3、4人のグループがいると、うち1人は必ずと言っていいほど菜食主義者だという。

 「日本に来たことがない外国人が考える日本の食文化のイメージは『漬物』だったりするんです。しかも世界では日本は美味しい飲食店が多いということで有名です。これはもう菜食主義者の外国人にしてみれば、日本で飲食店に行くことが楽しみなのです。しかし実際日本に来てみると、『漬物』は脇役で肉料理のほうが中心ですよね(笑)。また日本の料理でかなり頻繁に使われている『出汁』というものが、菜食主義者には食べられません。魚ですからね」(クラークさん)

 出汁がアウトなら日本料理の多くが食べられないものになってしまう。外国人菜食主義者が日本で飲食店探しに困るのは出汁が原因なのかもしれない。

 欧米ではハンバーガーは元来親しみのある食べ物だ。そのハンバーガーに肉も魚も卵も使われていないとなると、菜食主義者の外国人観光客には安心して食べられるものとなる。

 元々は自然食品に興味があった雪田さんが、大豆ミートを使って卵アレルギーの人にも食べられるようにと作ったソイバーガー。それが今、街の居酒屋のインバウンド対応メニューとなっているのだ。今後はインバウンド対応として、英語版のチラシを作成するなど、やることがたくさんあるという。

(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。



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