日本の鉄鋼メーカーに悪夢再び 米輸入制限で鋼材あふれアジアに流入も(SankeiBiz)



 貿易摩擦が激化する中、日本の鉄鋼メーカーが先行きへの懸念を強めている。トランプ米政権による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の適用対象がカナダと欧州連合(EU)、メキシコに広がり、米国から閉め出された製品がアジアへ流入する可能性がさらに高まったからだ。流入で日本メーカーが主戦場とするアジアの市況が悪化すれば、中国の過剰輸出に苦しんだ数年前の悪夢が繰り返されかねない。

 「これからは影響が顕在化するかもしれない」

 カナダやEUに対する輸入制限適用の一報を耳にしたJFEスチールの担当者は、こう不安を漏らした。

 日本の製品は既に25%の高関税をかけられているが、米国へ輸出しているのは原油輸送などに使うシームレスパイプ(継ぎ目なし鋼管)など、高い技術が必要な製品ばかり。ほとんどの製品で、入手できなくなると困る現地の需要家が関税を支払っている。アジアへの流入もみられず、市況は発動前とほぼ変わらず落ち着いている。

 だが、今回の適用でそうした状況は一変する可能性がある。

 米商務省によると、カナダとEU、メキシコは2017年の対米輸出量で1位(578万トン)と2位(503万トン)、5位(317万トン)を占め、8位の日本(約173万トン)など、以前から適用されてきた国を大きく上回る。日本製品同様、米国の需要家が関税を負担する可能性もあるが、対象製品が大幅に増えた分だけ、米国からあふれ出る可能性は高まった。

 EUなどが報復措置を実行に移せば、そうした混乱に拍車がかかる。日本鉄鋼連盟の柿木厚司会長(JFEスチール社長)は「(報復措置を含む)保護主義的な政策がどのような変化をもたらすのか、動向をみていかないといけない」と懸念する。(井田通人)

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