米、鉄鋼・アルミ輸入制限拡大 対抗措置の応酬、世界に悪影響(SankeiBiz)



 トランプ政権が1日、鉄鋼などの輸入制限で暫定的に適用除外としてきたEUとカナダ、メキシコにも追加関税を発動したことで、同盟国の通商上の対立が先鋭化してきた。EUなど3カ国・地域は即座に米国への報復措置を表明し、当初から適用されている日本もWTOに対抗措置の準備を通知している。ただ、報復措置の応酬となれば貿易量の縮小を通じて、世界経済に悪影響を及ぼす懸念がある。

 「過ちであり違法だ」。ドイツのアルトマイヤー経済相は5月31日、米国による輸入制限を批判した。

 EUは「銃を頭に突きつけられたままで交渉はできない」と輸入制限が正式に除外されれば、米国との通商交渉に応じる姿勢を示してきた。だが輸入制限の発動で「銃が発射された」(欧州外交筋)形となり、対立の激化は避けられない。

 カナダのフリーランド外相も、同31日の記者会見で「遺憾だ」と述べ、WTOに提訴することを明らかにしている。

 日本もEUやカナダ、メキシコと連携して対応していく考えで、世耕弘成経済産業相は同31日の記者会見で、「いかなる貿易措置もWTOに整合的であるべきだ」と述べた。

 ただ、日本は対抗措置の準備をWTOに通知しているが、具体的な品目は公表していない。経産省幹部は「対抗措置はできるが、すぐにやるつもりはない」と語り、トランプ米政権に揺さぶりをかけたい考えだ。

 しかし、米国は鉄鋼と同様に安全保障上の脅威を理由に自動車でも輸入制限を検討する。実際に発動されれば「影響は鉄鋼の比ではない」(政府関係者)ため、各国の反発がより強まるのは必至。日本も、WTOへの提訴など対抗措置が選択肢に入るとみられる。

 国際通貨基金(IMF)は、世界経済の順調な拡大を背景に、世界全体の貿易量を2018年が前年比5.1%増、19年は4.7%増と予想する。

 だが、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは世界の貿易量について、「米国が鉄鋼の輸入制限を発動した3月はプラス2%程度と、それまでの4~5%のプラスから伸びが鈍化したようだ」と指摘。報復関税なども含めた保護主義的な措置の広がりが、世界経済にはマイナスに働くと分析している。(ベルリン 宮下日出男、大柳聡庸)



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