再稼働に慎重な米山知事が辞職 新潟県知事選でどうなる「柏崎刈羽原発」(産経新聞)



 新潟県の米山隆一前知事が女性問題で突然辞職したことを受け、県知事選が6月10日に投開票される。知事選は東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重だった米山路線の是非が大きな争点になる見通しで、自民・公明両党が推す候補と、立憲民主や国民民主など野党が支援する候補の事実上の一騎打ちが予想されている。ただ、知事選の行方がどうあれ、再稼働に向けた地元の同意を得るのは容易ではなく、東京電力ホールディングスには険しい道が待ち受けている。

 複数の女性と金品をやりとりしながら関係を持っていたと認め、辞職に追い込まれた米山氏。4月18日の記者会見では「言い訳かもしれないが、好かれるためにやっていた」などと、時折涙を浮かべながら釈明した。

 米山氏は福島第1原発事故の原因や安全な避難方法を調べる県独自の検証が数年かかる見通しを示すなど、柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢だった。会見では「原発に正面から取り組むという歴史的使命を果たせなかった」と、無念さをにじませた。

 とはいえ、再稼働に厳しい姿勢だった米山氏の辞職で、再稼働がすんなりと前進するわけではない。

 現時点で知事選は、自民・公明両党が推す前海上保安庁次長の花角英世氏と、立憲民主や国民民主、共産、社民、自由各党が支援する県議の池田千賀子氏による、与野党対決の構図が予想されている。

 米山氏は前回知事選で共産、社民などの推薦を受け当選。池田氏も再稼働に慎重だった米山路線を継承するとみられる。

 一方、5月15日に会見した花角氏は原発再稼働をめぐり、米山氏が進めた県独自の安全性検証の継続を明言。検証終了まで再稼働は認められないとし、「将来的に原発に依存しない社会を目指す」とも述べた。こちらも再稼働に慎重な姿勢をにじませた。

 現時点で知事選の行方を占うのは困難だが、これでは、どちらが知事選に勝っても再稼働は難しいということになる。

 地元の自民党関係者は今回の知事選について「米山路線を否定せず、原発を争点化しなければ勝てる」とつぶやく。逆に言えば再稼働に前向きな姿勢では、知事選で逆風にさらされるというわけだ。

 なぜか-。

 関西電力の大飯原発(福井県おおい町)や九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)など、福島第1原発事故を受けて導入された新規制基準のもとで再稼働した原発は、いずれもそれぞれの電力会社の供給エリア内に立地している。住民は安全性はもちろんだが、原発再稼働に伴う値下げなど経済性も考慮に入れて再稼働の是非を判断する。

 ところが柏崎刈羽原発は違う。東電は基本的に新潟県内に電力を供給しておらず、再稼働しても値下げなどのメリットが県民にはない。このため、安全性だけで再稼働を判断することになる。雇用などで直接恩恵を受けられる柏崎市や刈羽村など立地自治体を除けば、県民は再稼働によるメリットを感じにくく、慎重になりやすいとみられる。

 実際、新潟県知事には2人続けて再稼働慎重派が就任している。米山氏は平成28年、泉田裕彦前知事の任期満了に伴う知事選に立候補。再稼働に慎重だった泉田氏の路線継承を掲げて当選している。

 柏崎刈羽原発は昨年12月、安全対策に関する原子力規制委員会の審査に合格。再稼働は県など立地自治体の同意が焦点だが、同意は見通せない。

 東電は粘り強く地元理解に努める考えで、経営再建計画は早ければ31年度の柏崎刈羽原発の再稼働を前提としている。再稼働が進まず収益力の回復が見込めなければ、巨額の賠償や廃炉費用を捻出するため、経営戦略の見直しも迫られかねない。(経済本部 大柳聡庸)



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