島らっきょうプロジェクト 復興への活動芽吹く 荒廃地で栽培可能 豪雨被災地・福岡県朝倉市(日本農業新聞)



 九州北部豪雨で被災した朝倉市内の畑や耕作放棄地で、荒れた土壌に強く、短期で収穫を見込める沖縄在来種の「島らっきょう」を栽培し、農家の復興を支援する「島らっきょうプロジェクト」が順調に進んでいる。スタートから9カ月、ボランティアらによる作付面積は約1ヘクタールに拡大。「作って応援、食べて応援」を合言葉に、売り上げの一部を復興支援に回すことで朝倉の農業復興を目指す。

元協力隊が企画

 同プロジェクトは、朝倉市出身の石橋浩二さん(49)が企画した。大分県内で昨年3月まで地域おこし協力隊を務めた後、農業や地域づくりをサポートする会社を起業。同県内で、価格競争に巻き込まれない農業の在り方を目指していた7月、九州北部豪雨で故郷が被災した。

 すぐに帰郷し、災害ボランティアに従事。しかし山間部から流れ込んだ土は雨が降ればドロドロになり、乾燥すれば岩のように固くなった。生活インフラは復旧しても農地の復旧や土壌の回復など、農業の復興には時間がかかると危機感を強めた。

 そこで「復興までの現金収入と新しい農業復興支援の仕組みが必要」と一念発起。環境に強く、田んぼやハウスに流入した土砂を撤去せずそのまま周年栽培でき、約4カ月で収穫できる「島らっきょう」を広めようと8月、朝倉市大庭地区の畑に30粒を播種(はしゅ)した。

 9月からは、前職時代の協力隊仲間やインターネット交流サイト(SNS)で呼び掛けたボランティアらの協力で作付面積を拡大。産地の沖縄への視察など試行錯誤を重ねながら、栽培技術の向上に努めた。

 九州地区ではなじみが薄い「島らっきょう」だが、健康に良い上に癖がなく、どの料理にも合うため、じわじわと消費が拡大している。現在は東京、福岡都市圏などの約40店舗が朝倉市産「島らっきょう」を使ったメニューを提供する。地元の農家からの問い合わせも増えた。

 5月13日には、収穫体験や試食宣伝を実施。地元の農家をはじめ飲食店や百貨店の関係者、野菜ソムリエ、ボランティアら約60人が参加し、収穫を楽しみ、「島らっきょう」の天ぷらやサラダを堪能した。中学校の職場体験で定植ボランティアとして参加した八女市立星野中2年生の今村小雪さんと今村日々歌さんは「6年前の八女の水害の時の恩返しができてうれしい」と笑顔いっぱいだった。

 石橋さんは「農業復興は大変な道のりだが、農業を諦めてほしくない。今後も島らっきょうの魅力を発信しながら朝倉に希望の輪を広げていきたい」と力を込める。

農地復旧道半ば

 九州北部豪雨では、JA筑前あさくら管内の約1100ヘクタールの農地が被害に遭い、土砂や流木にまみれた。農家や行政、JAなどの連携で現地では復旧作業が続くが、多くはまだ営農再開のめどがつかない。現地では今回のような取り組みも交え、あの手この手で産地復興を模索する。

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