大規模緩和の裏で銀行の体力は低下… 「過度な副作用なら政策変更検討を」と全銀協会長(産経新聞)



 日銀が掲げる物価上昇率2%の実現が事実上の「長期目標」となる中、金融政策の見直しを求める声が改めて強まっている。長引く超低金利による貸し出し利ざやの縮小は底を打ちつつあるとはいえ、金融業界の経営体力の低下は深刻だ。日銀は大規模な金融緩和をあくまで維持しながら、副作用を抑制するため政策の「微修正」を探り始めた。

 「2%達成時期は中長期化する可能性がある。過度な副作用が確認できるなら政策変更を検討すべきだ」

 全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は17日の記者会見でこう述べ、日銀に対し金融政策の再点検と見直しを求めた。

 日銀は4月の金融政策決定会合後の公表文で、これまで「平成31年度ごろ」と明示していた2%達成時期の見通しを削除。生鮮食品を除く物価上昇率が1%前後で推移する中、早期達成に見切りを付け持久戦に入ったとの観測が広がった。

 物価上昇の低迷と超低金利の継続は、銀行にとっては本業の融資で十分な利益が出ない異常事態がさらに続くことを意味する。貸出金利から預金金利を差し引いた預貸金利回り差は30年3月期連結決算での3メガ銀の単純平均で0・90%。1年で0・06ポイント落ちた。

 利ざや縮小は下げ止まったとの指摘もあるが、反転の兆しはなく、「落ちるところまで落ちた」(メガ銀幹部)状況。リストラを進めつつ、金融商品の販売手数料など非金利収入の積み増しが頼みの綱だ。

 このため三井住友フィナンシャルグループの国部毅社長は日銀に対し、「インフレ率が一定程度安定的に維持できるようになった段階」で政策変更に踏み切るよう求め、2%到達前の“見切り発車”に期待する。

 日銀にも批判の声は届いているが、4月の決定会合では、金利を上げれば「債券価格と株価が下落し、円高で企業の経営が悪化する」と慎重な意見が出た。政策変更が即座に「緩和縮小」とみられれば市場の混乱を招く。日銀にとっては必要な政策調整を行いつつ、強力な金融緩和を維持しているとの理解を得られるかが課題だ。(田辺裕晶)

【関連記事】

Related Post



コメントを残す