頼れる相談役 農地・施設取得 新規就農者の悩み解決 JA、行政…(日本農業新聞)



 新規就農者が増える中で、突き当たる大きな壁が農地の取得だ。農地確保自体が容易ではないが、好条件の農地となると手放す農家は少なく、ハードルはさらに上がる。“新規参入組”は、土地や施設の確保など大きな壁が立ちはだかる中、土地改良や技術習得、第三者継承など、JAや自治体などの支援が欠かせない。(川崎勇、吉本理子)

共同部署が営農指導 水はけ改善 愛知県新城市

 愛知県新城市作手地区の鈴木雅貴さん(28)は2014年のUターン就農直後、課題に直面した。栽培するホウレンソウが、出荷可能な大きさに育たない。原因は、圃場の排水性だった。

 同地区は中山間地の水田地帯で水はけが悪く、借りた圃場は「雨が降るとハウス内が目に見えて水浸しになった」という。暗きょや明きょが巡っているものの効果は十分でなかった。

 岐阜県の一般企業に1年間勤務後、地元への愛着からUターン就農した鈴木さんは「新規でいい場所を確保するのは難しい。最初からつまずいた」と振り返る。

 同市はJA愛知東、農業公社しんしろ、県が連携し、研修や技術指導、資金・農地の確保など各機関が強みを生かす形で就農支援策を充実させている。鈴木さんも手厚い支援を受け、農地確保もとんとん拍子に進んだ。

 ただ、地域の土質が栽培のハードルとなった。収益面から市は新規就農者に園芸品目を薦めているが、もともと水田地帯。水はけのいい土地を好むホウレンソウにとって、最適な土地は少ない。地区ではホウレンソウ生産は始まったばかりで、栽培技術が十分に確立されていなかった。状況打破へ、先輩農家やJA、普及センターと共に、手探りで改善を模索した。

 JAの営農指導員から、生産性向上には客土が良いと聞いていたが、当初25アールで数千万円単位の費用がかかると知り、踏み出せなかった。タイミングよく公共事業で残土が出たことを公社から聞き、格安で工事できることになり実現した。

 同市は、公社やJAと農業関連の共同部署を立ち上げており、職員が常に同じフロアで勤務している。鈴木さんが苦労している情報も共有していたことから、対策が進んだ。営農指導を受け、サブソイラーでの土壌破砕や、毎作ごとのもみ殻投入で排水性を改善。現在は年間7、8回転で、10アール当たり約8トン収穫できるまでになった。

 17年3月に10アール拡大したが、拡大分は経験を基に栽培に向く圃場を探し、所有者と直接交渉した。現在、同地区のホウレンソウ生産者は3人、全員が新規就農者だ。10年前にほぼゼロだった作付面積は1・14ヘクタールに伸びた。JAは県内で珍しい周年供給の産地として、売り込みを強めている。

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