日中韓首脳会談 対米具体策は足並みそろわず(SankeiBiz)



 9日の日中韓首脳会談では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や自由貿易協定(FTA)の交渉加速で合意するなど経済連携の推進をうたったが、トランプ米政権を念頭に置いた保護主義への具体的な対抗策では足並みがそろわなかった。特に知的財産の侵害など中国の不公正貿易に反発し質の高い自由貿易を求める日本と、米国との通商摩擦に焦る中国との立ち位置の違いが目立った。
 「ハイスタンダード(高い規格)なルールを打ち出すことが必要だ」。安倍晋三首相は首脳会談の席上、RCEPなどの早期妥結に前のめりな中国の李克強首相を意識し、くぎを刺すことを忘れなかった。
 2国間交渉を好み保護主義的な姿勢を強めるトランプ米政権に対抗するため、日中韓は多角的貿易体制の重要性で一致。その象徴がRCEPなどの早期妥結に向けた連携だ。李首相は記者会見で「3カ国が自由貿易の取り組みを支持していることを見せよう」とトランプ氏を牽制(けんせい)した。
 ただ、その具体策となると隔たりも大きい。
 RCEPでは関税の引き下げなどで質の高い協定を求める日本と、米国に対抗するため低水準でも早期妥結を求める中国の間の溝は深い。日本の政府関係者は「具体的な期限を話したつもりはない」とし、自由化の程度が低い内容で妥協するつもりが一切ないことを強調した。
 鉄鋼などに高関税を課す米国による輸入制限では、中国が制裁発動で対抗する一方、日本は「対抗措置の応酬は自由貿易の崩壊につながる」(世耕弘成経済産業相)として、米国に粘り強く適用除外を働き掛けている。韓国に至っては適用除外と引き換えに、鉄鋼の輸出制限をトランプ米政権にのまされるなど、日中韓の戦略は大きく異なる。
 そもそも、トランプ氏の対外強硬姿勢は、鉄鋼の過剰生産など中国の不公正な貿易が発端だ。首脳会談で安倍首相は中国を念頭に、「過剰供給能力は構造的な問題だ」などと指摘。知的財産の保護にも言及せざるを得ず、日中韓による共同歩調の限界も露呈した。(大柳聡庸)

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