武田大型買収 「武田が日本企業であることに変わりはない」ウェバー社長一問一答(産経新聞)



 武田薬品工業は9日、欧州医薬品大手シャイアーの買収に関する記者会見を東京・日本橋の本社で正午から開いた。7億円に迫る買収額(460億ポンド)は、日本企業として過去最高額。この買収により同社は製薬業界で世界9位へと躍進する。会見場には国内外約100人の報道陣が集まり、クリストフ・ウェバー社長が「グローバルな医薬品のリーダーになるための大きなステップだ」と意義を説明。巨額投資に伴う財務悪化への懸念についても「債務の水準は急速に下げることが可能だ」と強調した。

 約70分間の会見では、まず武田の取締役会議長を務める坂根正弘・コマツ相談役特別顧問が「『タケダイズム』を維持できるかどうかが買収判断の大きな論点だった」と経緯を説明した上で、今後について「一枚岩となって戦略を加速させ、『ワン・タケダ』になれれば大きな企業価値を実現すると信じている」と語った。

 続いてウェバー社長が「地理的にもバランスがとれたベストな組み合わせとなる。グローバル化が加速するが、武田が日本企業であることに変わりはない」と力説。合併の完了後は、消化器と神経疾患分野の強化により、欧米勢に後れを取っていた新薬の開発やシャイアーが高いシェアを有する米国市場での販売拡大に弾みを付けるという。

 ウェバー社長と報道陣の主な一問一答は、次の通り。

 --シャイアーが持つ希少疾患分野の強みを、どう生かす考えか

 「タケダのパイプライン(開発中の新薬候補)の3分の1は治療対象を絞った薬の開発であり、(シャイアーの強みと)共通している。今後、遺伝子治療など多くの分野でシナジーが期待でき、研究開発の生産性が向上するはずだ」

 --世界9位のメガファーマに躍進するが、規模拡大の意味は

 「ランキングは重要ではないし、経営の目標でもない。目指すのは競争力の強化だ。ただ、より革新的な薬を出すためには質の高いマネジメントが必要で、そのためにはサイズ・スケールも必要となる」

 --合併の際には企業理念の共有が重要だ

 「一体になれずに失敗するM&Aは多いが、『患者にフォーカスする』という武田の文化とシャイアーの価値観は共通している。また、武田のオペレーションはグローバル化しており、完全統合には自信を持っている」

 --新興国市場の開拓が武田の課題だが、今回の買収はそれに寄与するのか。または当面、先進国に注力するのか

 「新興国に注力していく。世界人口70億人のうち60億人が新興国に暮らしている。2社が統合すれば強みが生まれる。競争力を高めて新興国でも闘っていく」

 --人材流出をどう防ぐのか。ここ10年ほどの間に、生え抜きの研究幹部が大勢去った。シャイアーの優秀な研究者も同様の道をたどらないか

 「われわれの人事政策は成功しており、その意見には賛同できない。グループ従業員のモチベーションは各国で高い。グループの変革の必要性も従業員に理解されている。当社の人事は柔軟性が高く、シャイアーの従業員にとっても魅力的だろう」

 --研究開発の生産性をどう高める

 「新会社は40億ドルの投資が可能なスケールに拡大する。自前での研究は大事だが、互いにエキスパートを求めてベストパートナーを見つけることも生産性の向上には重要だ」

 --巨額投資により、EBITDA倍率が4~5倍に膨らむ

 「その通りだが、急速に2倍まで下げる。自信がある」

 --タケダイズムとは何か。今回の買収でグローバル化がさらに加速するが、守るべき価値と変えていく価値は

 「誠実・公平・正直・不屈という価値観をグローバルに広げている。患者にとって正しいことを常に行い、社会との信頼を強化する。安全で有効性のある薬品を届け、会社のレピュテーション(評判、評価)を高めていくことが長期の成功に重要だ。ビジネスは、その後に付いてくる。これらは世界各国で有効な魂であり、シャイアーでも実現されるはずだ」



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