麻生発言「改ざんは個人の資質」に漂う違和感(東洋経済オンライン)



 森友学園への国有地売却をめぐる財務省公文書改ざん問題で、麻生財務相は5月8日記者団に次のように述べた。

 「どの組織だって改ざんはありうる話。何も大蔵省(財務省)にかぎんなくたって、会社だってどこだって、ああいうことやろうと思えば、その個人の問題でしょうから。そういった意味では、私どもとしては組織としてどうのこうのという意識で思っているわけではない。個人による資質とか、そういったものによるところが大きかったのではないかなと思っています」

 筆者はこれまで食品表示偽装をはじめ数々の企業不祥事を取材する一環で、社会心理学研究者に話を聞いてきた。その経験をもとに、麻生財務相の発言の問題点を指摘したい。

■組織性犯罪は個人の資質よりも組織の風土が原因

 企業組織での犯罪はふたつの種類がある。ひとつは「職務犯罪」とよばれ、社員が会社のお金を横領するなど、社員が加害者で会社は被害者となる。もうひとつは「組織性犯罪」とよばれ、いわゆる組織ぐるみで不正を行い隠ぺいする。加害者は企業などの組織で、被害者は社会や消費者といった組織外部になる。

 職務犯罪が個人的な事情が原因になって起こるのに対して、組織性犯罪は個人の資質よりも、組織の風土や文化によって引き起こされるという違いがある。 

 この研究の基本には米国の犯罪社会学者サザランドの「ホワイトカラー犯罪研究」がある。

 1929年の株価大暴落後の米国社会で、ホワイトカラーとよばれる社会的地位の高い層の人が、その職務過程において社会に大きな損害をもたらす逸脱行為を行うケースが続発したことから、これらを「ホワイトカラー犯罪」と名付け、組織的に研究した。

 その結果明らかになったのが、犯罪が個人の性格よりも組織に入ったことによって引き起こされる傾向があることだった。

 社会心理学で「集団規範」と呼ぶ“集団の成員に共有されている価値判断や行動様式の規準”がある。組織の成員は特定の規準に従って知覚や思考をする。組織には明文化された規則もあれば、明文化されていないが慣例として行われているものもある。

 企業や官庁などは、それぞれ専門性を持つ下部組織によって構成されている。日常の業務を遂行するにあたっては、上司の指示・命令に従って行う。業務命令に従うことは、就業規則として明文化されているのが一般的である。

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