熊対策 3本柱 ・追い払い ・位置情報 ・すみ分け 秋田県が強化(日本農業新聞)



 熊による人的被害が2017年度、全国最多だった秋田県が新たな対策に乗り出した。県などは8日、生活圏への熊の侵入を防ごうと、熊追い払い用の煙火を導入するための講習会を大仙市で初めて開いた。18年度からはスマートフォンで熊の目撃情報を確認できるようにした他、県内のモデル地区で人と熊のすみ分けの対策を講じる。5月から熊の活動が活発化するだけに、農家も対策に期待を寄せる。(塩崎恵)

新兵器は「轟音玉」 市町村担当初の講習会

 大仙市の運動場。長さ約20センチの煙火に着火し投げて約10秒、打ち上げ花火のような爆音と同時に地面が揺れ、白い煙が上がった。爆音を鳴らしたのは、動物駆逐用煙火「轟音(ごうおん)玉」。導火線と持ち手の間に、直径3・5センチの丸い発音剤が付いている。

 日本煙火協会秋田地区会と県は8日、市町村担当者向けに「動物駆逐用煙火消費従事者保安手帳講習会」を開いた。

 駆逐用煙火を購入・使用するには、協会が講習参加者に交付する「煙火消費保安手帳」が必要。ツキノワグマによる被害が増加しているのを受け、煙火で熊を山へ追い払い、農地や生活圏へ進入しないよう、県では初めて導入に踏み切った。

 県内の熊の目撃情報は17年度、過去最多の1303件。16年度の5割増と急増した。18年度も4月で37件の目撃があり、前年同月15件の2・5倍となった。人的被害も17年度20人。今年度も5月7日時点で3人が被害に遭っている。

 県は、昔は山奥にいた熊が耕作放棄地の増加やハンターの減少などで生活圏近くにすみ、田畑に出てきて人との接点が増加し、被害が拡大しているとみる。「捕獲だけでは解決できない。煙火などで人間に対する恐怖を持たせて、人里から山に戻す必要がある」(自然保護課)と話す。

 秋田県は、目撃情報などを地図上に載せた「ツキノワグマ情報マップギャラリー」を17年3月からホームページで公開。18年度はスマホ用も開設した。位置情報で、周辺の目撃情報を知ることができる。

 さらに、鹿角市3カ所、北秋田市と大館市の計5カ所のモデル地区で「熊生息地帯」「緩衝地帯」「人の生活地帯」に分けるゾーニングを行う。専門家などによる現地診断などで、熊を人里に呼び寄せる原因を見つけ対策を講じ、効果を検証していく。

 環境省野生生物課は「秋田県のような対策はとても重要。他県でも参考にしてほしい」と呼び掛けている。

農業被害は 4割も増加

 農業被害も甚大だ。17年度の農林水産物への被害は3200万円で、16年度と比べ4割増えた。

 美郷町で果樹1・3ヘクタールを栽培する橘健治郎さん(80)も熊の被害に悩む。17年度は7~10月にスモモ、プルーン、桃、リンゴが食害に遭った。「暗くなる前に作業を終えるなど熊に遭遇しないようにしているが、収入に影響するので対策を急いでほしい」と訴える。

日本農業新聞



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