社会保障費抑制めぐり政府内でさや当て 来年の参院選、統一地方選も見据え(産経新聞)



 新たな財政健全化計画は平成31~33年度の社会保障費の伸びを年5千億円程度に抑える方向で調整に入った。さらに深掘りを求める財務省に対し、来年の参院選や統一地方選を見据え、急激な社会保障抑制にはブレーキがかかった格好だ。ただ、団塊世代が75歳以上の後期高齢者入りする34年度以降は社会保障費が急増する見通しで、中長期の社会保障改革をめぐり、6月の最終決定まで紆余曲折する可能性がある。

 麻生太郎財務相は8日の閣議後の記者会見で、31~33年度の社会保障費抑制に関し、増加幅を各年度5千億円に抑えた28~30年度の取り組みが「一つの目安として考えることはあり得る」と述べた。

 財務省は4月の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、人口減少や経済成長に連動して医療費の窓口負担を自動的に引き上げる制度の導入や後期高齢者窓口負担の2割への引き上げ、年金支給開始年齢の引き上げなど強硬な社会保障改革案を次々と提示。ここ数年は第二次世界大戦時の出生数減の影響で後期高齢者入りする人口が減ることから高齢化による社会保障費の伸びも減るとみられるため、31~33年度の抑制目標も現行より厳しい水準を求めている。

 これに対し、厚生労働省は猛反発。特に年金支給開始年齢引き上げに関しては「現行制度で抜本改革のメドはついているのにもかかわらず、いたずらに年金不安をあおるだけ」(幹部)と憤りの声が上がる。

 来年は春に統一地方選、夏に参院選を控えており、与党内からも急激な社会保障カットには警戒感が広がる。「安倍晋三首相が強い意欲を示す憲法改正で、国民投票に悪影響が出るのは避けられない」(閣僚経験者)との見方も出ている。

 8日の麻生氏の発言もこうした慎重論に一定の理解を示した形だが、基礎的財政収支の37度黒字化を達成するための社会保障改革の方向性も示さなければならない。中長期の社会保障抑制策について、新たな財政健全化計画にどこまで踏み込んで書き込めるかがポイントとなりそうだ。

  (桑原雄尚)

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