産地品種銘柄が拡大 米販売戦略が多角化 すし、弁当玄米食 特定用途に照準(日本農業新聞)



 米産地の販売戦略が多角化している。農水省が公表した2018年産うるち米の「産地品種銘柄」は、前年産から42増えて795銘柄。増加数は過去10年で最多となった。家庭用を意識したブランド米市場の競争に加え、すしやコンビニ弁当向け、健康性商品といった特定の用途に照準を合わせた銘柄の販売競争が激しさを増している。

 「◯◯産コシヒカリ」など銘柄を米袋に表示して流通させるためには、産地品種銘柄の設定が必要になる。18年産では新たに52銘柄で設定されたが、廃止銘柄を差し引くと795銘柄になる。10年前より5割増えた。

 18年産では、今年本格デビューする富山県のオリジナル品種「富富富(ふふふ)」や、高知県の「よさ恋美人」など、家庭用向けの良食味のブランド米だけでなく、業務用を意識した産地品種銘柄の設定が目立つ。

 青森県黒石市は、粘りが少なくすしに向く「ムツニシキ」を産地品種銘柄に申請し、18年産から本格販売を進める。かつて県の奨励品種で広く栽培されていたが、倒伏しやすいなどの理由で生産量が激減。しかし地元すし店から根強い支持があり、「需要の隙間を狙いたい」(同市農林課)と復活を目指す。

 コンビニ弁当に向く米として人気の高い宇都宮大学の育成品種「ゆうだい21」は、福島、富山、石川の3県で新たに産地品種銘柄に設定。9県に広がった。冷めても電子レンジで加熱するともちもち感が出ることで、支持を広げている。

 玄米食向け巨大胚芽米の設定も目立った。「はいごころ」は茨城、静岡、愛知、岡山4県で、「金のいぶき」は山形、広島、山口の3県で設定された。いずれも胚芽が大きくGABA(ギャバ=●アミノ酪酸)含量が多い品種で、健康志向の高い層を狙い導入が進んでいるとみられる。

 民間育成の良食味の多収米「縁結び」も、三重、滋賀など4県で産地品種銘柄に設定された。伊勢神宮など縁結び系神社のある地域を中心に、「縁起の良い名前を前面に出して売りたいという要望が生産者から出ている」(種子を生産・販売する岐阜県のアグリトレード社)という。

 米の流通に詳しい日本農業研究所客員研究員の小澤健二氏は「家庭用の競争が激しくなり、中食外食需要の広がりを受けて、産地が売り込む品種銘柄も多様化している」と分析する。

編注=●はギリシャ文字のガンマ



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