日立、世界的な企業再編加速に対抗 鉄道事業・サービス重点、M&Aで業容拡大を追求(SankeiBiz)



 日立製作所の中西宏明会長は19日、東京都内で講演し鉄道事業でのM&A(企業の合併・買収)について「鉄道全体のサービスでは(案件は)いくらでもある」と意欲を示した。鉄道車両分野では2015年に中国で合併により巨大企業が誕生、業界2位の独シーメンスと3位の仏アルストムも事業統合を決めるなど再編が進む。日立は車両だけでなく、運行管理や保守サービス分野でのM&Aで業容拡大を追求し、世界大手に対抗する方針だ。

 ◆英工場はフル生産

 「フル生産で能力が足りない。うれしい悲鳴だ」。中西会長は英国での鉄道事業の好調さを明かす。英国では昨年10月、日立が受注した都市間高速鉄道計画(IEP)の新型車両が営業運転を開始した。IEPは866両の車両供給と保守業務を手がける総額1兆円のプロジェクトだ。英工場では19年までフル生産が続く。また、インドでは初となる高速鉄道整備計画で日本の新幹線方式の採用が決まっており、実績のある日立の受注が有力視されている。

 「いかにグローバルメジャーになれるかが生き残りの前提条件だ」。順風満帆にみえる日立の鉄道事業だが、中西会長に慢心はない。背景には世界大手の合従連衡がある。15年に中国の鉄道大手2社の合併で誕生した中国中車は売上高4兆円規模。シーメンスとアルストムが事業統合すれば2兆円規模になる。これに対して、日立の鉄道事業の売上高は2018年3月期に5400億円の見通し。世界上位に比べて大きく見劣りする。

 もっとも、日立も15年にはイタリアの鉄道車両メーカーのアンサルドブレダを買収し、鉄道信号大手のアンサルドSTSも連結子会社に加えた。20年前半に売上高1兆円を達成する計画だ。それでもライバルの背中は遠い。巨大連合が規模拡大を生かして価格攻勢をしかければ、世界各地での受注競争で太刀打ちできなくなる懸念がある。

 中西会長は「トータルサービスという見方で戦略を練れば、勝ちシナリオは出てくるはずだ」と強調する。

 ◆大型受注狙う

 例えば、日立は駅に設置したセンサーで乗客数を分析し、増減に応じて運行本数を自動で決めるシステムを開発した。デンマークで実証実験を始め、各国に売り込む方針だ。得意のITを使った運行管理や保守システムは巨大連合と比べても日立に強みがあり、こうした技術を売りに車両も含めた大型プロジェクトの受注を狙う。

 「戦略的買収はまだステップ1が終わったくらい」と中西会長は鉄道事業でのM&Aの二の矢、三の矢をほのめかす。重点を置くのは、車両自体の規模拡大よりはむしろ、差別化戦略につながるサービス分野だ。「デジタル化で業界の垣根が低くなっており、このチャンスを捉えなければならない」と語る。

 世界の鉄道市場の規模は13~15年に年平均で12兆1000億円だったが、欧米での車両更新や新興国向けの新車導入が相次ぎ、19~21年には14兆6000億円に拡大する見通しだ。

 成長市場で規模拡大を狙った再編が加速する中、車両のシェア追求とは一線を画す日立の新たなM&A戦略の次の一手が注目される。(万福博之)



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