「残業規制」で所得と消費はどれだけ減るか(東洋経済オンライン)



 森友・加計問題や自衛隊日報問題など、スキャンダルの陰に隠れ大きく報じられていないが、4月6日に政府は閣議において働き方改革関連法案を決定している。具体的に同法案は残業時間に対する罰則付き上限規制(以下残業規制)導入や、高収入の一部専門職を労働時間規制からはずす「高度プロフェッショナル制度」の創設、非正規労働者の待遇を改善する「同一労働同一賃金」などを柱とし労働基準法や労働契約法など複数の改正案で構成されている。

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 スキャンダルをめぐって野党攻勢が続く中、同法案が十分に審議され、かつ、成立に至るのかどうかは雲行きが怪しい。だが、経済分析の立場からは、やはり、成立した場合の残業規制による所得減やそれが景気に及ぼすインパクトが注目される。2018年度春闘を前に安倍晋三首相が「社会的要請」という踏み込んだ表現で「3%」の賃上げを求めたのも残業代減少という副作用を念頭に置いたものと見られる。本欄では最新の数字を踏まえ、その影響を簡単に整理しておきたい。

■2014年度増税に匹敵という試算も

 今回の残業規制にかかわる法案どおりに法律が成立すれば、残業時間は年720時間、月間では休日出勤も含め100時間の上限が設定され、月45時間を超える月は年6カ月、平均して80時間が上限となる。この点、長時間労働が慢性化している日本では残業代を生活費の前提とする層が少なくないことも指摘されており、規制により「今まで払われていたが、今後払われなくなる賃金」が景気に対して、どの程度「負のインパクト」を持つのかが注目されている。

 もちろん、「残業規制により1人では終わらなくなった仕事」があれば(それがなかったらこれまでの残業は本当にムダだったということになる)、それは「残業時間が少ない(残業枠に余裕がある)労働者」に分配されるはずなので、マクロで見た残業代の増減はそれらをネットアウトして考える必要がある。

 残業規制のインパクトについては諸々の試算が錯綜しているが、政府の想定として4兆~5兆円という規模感が報じられている 。過去に一部民間シンクタンクの推計として8.5兆円という数字が報じられたこともあったが、後述するようにこれは過大である可能性が高い。

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