三重県桑名市が「産業観光」に目覚めた理由(東洋経済オンライン)



 三重県・桑名市が「産業観光」(インダストリアルツーリズム)に取り組んだのには訳があった。

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 桑名市の人口は14万2805人(5万8406世帯)、大きく減少していることはない。しかし、財政の硬直度を示す経常収支比率は97~98%。毎年の必要な経費をかろうじて自分で賄えているような状態だ。「地域おこし」「街おこし」は、各地方都市が頭を痛めているアジェンダだが、桑名市もそうした喫緊の課題に直面しているのは間違いない。

 2016年5月に開催された伊勢志摩サミット。その際、各国の中高生が集まり世界の課題について話し合うジュニア・サミットが桑名市で開催されたが、これが桑名市に“覚醒”を促すことになった。

■海外から年間2000人超が訪れる工場

 ジュニア・サミットでは、「おもてなし力」向上のためのイベントや研修を行った。その中で、「当社の工場には、海外からの視察客が数多く訪問しており、年々増加するばかりだ。海外客は工場を視察した後、東京や名古屋、大阪などに移動して観光している」という発言があった。

 発言の主は、トヨタ自動車系の精密部品切削研削加工、エイベックス(本社名古屋市・非上場)の加藤丈典社長。売上高約60億円、従業員数380人程度の中堅企業だが、桑名市多度町にある主力工場には、海外から年間2000人超が視察に訪れるという。

 要は、トヨタ式の生産方式(TPS)に対する世界的な関心の高まりが背景にあったわけだが、桑名市に海外からの客が来訪していたのである。桑名市としては、思わぬところにインバウンドの観光コンテンツがあったことに気づかされた。

 一方で桑名市は、簡単には解決できない課題も抱えていた。「海外からの多くのお客が訪れるエイベックス多度工場というコンテンツがあるのはわかったが、バスで視察して終わったらすぐほかの都市に移動していく。桑名にはおカネがほとんど落ちない」(黒田法雄・桑名市経済環境部商工観光文化課係長)。

■街ぐるみのコンテンツを用意

 海外からの視察客を取り込むには、宿泊・消費につなげていく仕組みを作ることで桑名市での滞在時間を延ばすしかない。

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