八方塞がりのプーチン、軍拡競争の「代償」(東洋経済オンライン)



 ロシアのプーチン大統領は再選されたが八方塞がりだ。経済成長率は極めて低く、プーチン政権が発足した2000年代初頭の好景気とは比べようもない。西側諸国との関係改善なくしてロシア経済が好転するとは考えにくいが、西側との対立は深まる一方だ。

 経済成長に投資は欠かせないが、成長のカギとなる技術や国際金融市場へのロシアのアクセスは限られている。プーチン氏と親密なロシアの企業や大富豪には経済制裁が科せられており、成長投資の足かせになっている。

■年次教書演説で将来への不安を露呈

 西側からの経済制裁に耐えかねたロシア政府は、投資・通商の拡大を狙い、中国との関係強化を模索した。だが、米中首脳会談で習近平国家主席がトランプ米大統領を皇帝級の特別待遇でもてなしたことで、プーチン氏の望みはついえた。対米関係改善も同様だ。

 3月の年次教書演説でプーチン氏は、図らずも将来に対する不安を露呈してしまった。ロシアが他国に後れを取る可能性があるとして、危機感をあおる場面がいつになく目立ったからだ。

 「技術進化は一気に加速している」とプーチン氏は分析し、こう言った。「技術進化の波に乗ることができた者ははるか先を行く。波に乗れなかった者はおぼれる」。おぼれかかっているのがロシアであるのは明らかだ。

 また、プーチン氏は年次教書演説の相当部分を、CGを駆使した最新鋭兵器のプレゼンに費やした。超重量級の大陸間弾道ミサイル、迎撃システムが追いつけないほど速い超音速兵器、核弾頭を積んだ長距離魚雷、原子力エンジンを搭載した無限の射程を持つ巡航ミサイルなどである。米国がどのような防衛網を構築しようとも、ロシアにはそれを突破する力があると証明したかったようだ。

 だが、そのような言動に出ることで、プーチン氏は自らの恐れをうかつにもさらけ出してしまった。ロシアの戦略核兵器が時代遅れのものになることへの恐怖だ。

 核戦力と国連安全保障理事会常任理事国としての拒否権を別にすれば、ロシアの戦略的影響力を支える基盤は弱い。経済規模は実質的にイタリア程度でしかなく、仮にプーチン氏が本気で米国と軍拡競争を続けるつもりなら、軍需産業を除く主要セクターは相当な経済的犠牲を強いられる。一般ロシア人の生活水準もさらに低下する。

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