取締役の年間報酬総額の上限、4倍20億円に ルネサスエレクトロニクスの狙い(J-CASTニュース)



 半導体大手、ルネサスエレクトロニクスについて、政府系ファンドの産業革新機構が保有株を追加売却する。2018年4月3日、発表した。これで革新機構の保有比率は45.6%から33.4%に下がり、ルネサスとして「一人立ち」に一歩近づいた。経営の自由度が高まるのを機に、世界で勝ち抜くための成長戦略を加速させたい考えだ。

 ルネサスは、三菱電機、日立製作所の半導体部門を分社化して設立されたルネサステクノロジと、同じくNECから独立したNECエレクトロニクスが経営統合して2010年、設立された。各社の寄せ集めで経営の合理化が遅れていたところに、円高と東日本大震災が直撃。13年には、革新機構をはじめ、トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機から総額1500億円の出資を受け入れ、従業員や半導体工場の削減など本格的な構造改革を断行した経緯がある。

■自己資本比率を47%にまで高めた

 結果的に、経営再建はうまくいっている。増資払い込み前の2013年3月期は連結売上高7857億円、純損失は1675億円、自己資本比率は10%だった。ところが完了後の14年3月期は連結純損失が52億円まで減少し、自己資本比率も27%にまで回復。決算期の変更を経て17年12月期は売上高7802億円に対し771億円の純利益を上げ、自己資本比率を47%にまで高めた。

 業績の回復と合わせ、革新機構は段階的にルネサス株を手放し多額の売却益を手にしている。1株120円で取得したルネサスの株価はアベノミクス相場の恩恵も受けて上昇。2017年6月には、当時保有していた69%のうち、まず19%分を1株825円で売却し、18年3月にはデンソーに4.5%分を譲渡した。今回の売却後も3分の1超を保有するが、一人立ちできると判断すれば売却に動くのは間違いない。NECと日立も今回、一部を手放す。ルネサスの経営の自由度は一層高まることになる。

 成長のテコとなるのが、M&A(企業の合併・買収)だ。2017年2月には米半導体、インターシルを3200億円で買収した。ルネサスは従来から車載向け半導体に強かったが、この買収で工場やインフラ向けなどの半導体もそろえた。

次のM&Aへの布石

 2018年3月には、取締役の年間報酬総額の上限を現在の4倍の20億円に引き上げた。世界的な半導体企業トップは数十億円の報酬は得ている。水準を引き上げて、外部から経営者を招き入れやすくする狙いで、次のM&Aへの布石だ。

 半導体業界は、とりわけ自動運転分野で大きな成長が見込まれる。昨17年は米インテルが、自動運転向けの画像認識用半導体を手がけるイスラエルのモービルアイを約1兆7000億円で買収。米エヌビディアも世界の主要な自動車メーカーと提携し、研究開発を進める。

 競合がひしめく中、ルネサスは勝ち抜いていけるのか。革新機構の手を離れつつある今が、正念場といえそうだ。

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