初代「ホンダZ」 若者の好みを表現したスタイリング あの時代を駆け抜けたクルマたち(日経トレンディネット)



日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年10月9日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

【関連画像】当時の人気モデル、日産フェアレディZを思わせるようなスタイリングとネーミングは、ちょっとしたパロディ感を与えたりした

●若者の好みをダイレクトに反映した「ホンダZ」

 かつてお馴染みだったクルマが、時に甦ることがある。たとえばフォード・マスタングのように懐かしさを伴うスタイリングを復活させたり、トヨタ・クラシックのようなレプリカといっていいモデルだったり。そんな中で、ホンダZは名前だけが復活した異色のモデルである。

 復活したホンダZ(1998~2002年)は、初代のホンダZとはなんの脈絡も持たない、ちょっと背の高い「軽」というフォルムの中に、エンジン縦置きミドシップ4WDを実現したものであった。いうまでもなく、今回紹介するのは1970年代前半に、強いインパクトを残した初代ホンダZである。

 国産車にとって旧き佳きというべき1960年代の末、クルマ好きの憧れはスカイラインGT-Rにトヨタ2000GT、それにもうひとつ、フェアレディZがあった。ちょうど、オープン2シーターのフェアレディ(SP/SR)からファストバック・スタイルのクーペ、フェアレディZにチェンジしたばかりで、日本と北米で爆発的なヒットを見せていた。

 ホンダZは「軽」でありながら、フェアレディZのパロディのような雰囲気で登場してきた。基本的には、その当時のホンダ「軽」量産モデルのコンポーネンツを用い、それにボディをはじめとしてうまいアレンジメントを施したもの、である。そのスタイリング、装備類、ラインナップなどいかにも若者の好みをダイレクトに反映した印象で、大いにヒットしたものだ。

「ミニZ」として身近な憧れに

 1970年10月に発売された最初のホンダZは、ホンダNがベースであった。したがって、エンジンは空冷2気筒SOHC354ccを横置き搭載したFWD。これもなかなかいいアイデアだったと思うのだが、単にデラックスとかスポーツなどというグレード名が多かった中に、ホンダZは「アクト」「プロ」「TS」「GT」「GS」という5グレードをラインナップ。

 前二者は31PS、後三者はツイン・キャブで36PSを発揮した。もちろんターボ・チャージャなどは装着しておらず、NAでリッター当たり100PSを得ていたのだから、すごい時代である。「GS」は5段のギアボックス、前輪ディスク・ブレーキなどを備えた最高峰バージョンで、若者にはフェアレディZ以上に身近な憧れになったのだった。

 全長3000mm以内という当時の「軽」のリミット内に収められたボディ・スタイリングは、いかにも本格的GTを目指しましたよ、というようないじましさが感じられた。

 ルーフが後端まで伸ばされ、本来ならスーッとファストバックのリアにつながるところを、長さが不足しているのを逆手にとって、ブラックのフレーム付リアゲートにした。このデザインは、「ミニZ」という印象を与えた。いじましさはあるけれど、昨今の「軽」にありがちな子供っぽさのないところがいい。

【関連記事】

Related Post



コメントを残す