ANA、チャーター手配事業参入の狙い 企業幹部など照準、目的地直結で差別化(SankeiBiz)



 全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)が、ビジネスジェット機を活用したチャーター手配事業に今夏参入する。大手企業の幹部が、海外出張先の移動にチャーター機を利用していることに着目した。総合商社の双日と共同出資会社を設立。ホンダの子会社で小型ジェット機「ホンダジェット」を製造・販売するホンダエアクラフトカンパニーとも連携する。国際定期便と組み合わせて目的地までをダイレクトに結ぶワンストップサービスを展開し、他社との差別化を図る。

 ◆企業幹部など照準

 「投資家向け広報(IR)活動で、海外の投資家を短期間に効率的に回るような需要があると思う」

 3月28日、羽田空港の全日空格納庫。タイの首都バンコクから飛来したホンダジェットの横で記者会見した片野坂真哉ANAHD社長はこう語って自信をにじませた。

 ANAHDが参入するチャーター手配事業のメインターゲットは企業や財界の幹部、政府要人だ。顧客は、全日空が就航する北米や欧州の空港で、各国の国内定期便に乗り換える代わりにチャーター便を使う。

 ANAHDが51%、双日が49%を出資して新会社「ANAビジネスジェット」を設立する。まず、北米での乗り継ぎ便や日本から海外への直行便を手配。今年度下半期中に欧州、19年度以降にハワイや東南アジアでも展開する方針だ。

 ANAHDが自らビジネスジェット機を保有してチャーター便を運航するのではなく、チャーター便を運航する企業に客の希望する日程を伝えて手配するビジネスだ。米国ではチャーター便運航は現地法人に限られ、自ら乗り出すのは「現実的ではない」と判断した。

 双日は、全日空の航空機調達で長年のビジネスパートナーであることに加え、米領グアムや日本でビジネスジェット機の運航を手掛けている。藤本昌義社長は「(日本から全日空の国際定期便)ファーストクラスで米国に着くと出入国審査までは全日空スタッフのおかげでスムーズだが、(米国内の)国内定期便で転々と回ると乗り継ぎで時間がかかり、飛行機を待たなくちゃいけない。(それを解消したいという)ニーズは多いと思う」と指摘。事業開始3年後には売上高が10億円規模になると見込む。

 ◆現地の労力を軽減

 日本の企業幹部が、チャーター便で国内外を移動するという事例はあまり聞かない。しかし、ANAHDグループ経営戦略室経営企画部の吉田秀和副部長は、製造業を中心に十数社の経営幹部に聞き取りした結果、「役員の海外出張が入ると、現地支社のスタッフが四苦八苦しながらチャーター便を手配していた」と打ち明ける。

 では、米国でビジネスジェット機をチャーターすればどれくらいの費用になるのか。日本を出発し、ロサンゼルス、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスを回る出張は、ホンダジェットを使えば米国滞在が4日間から2日間に短縮されるとの試算だった。この旅程を4人で組んだ場合、搭乗2週間前購入の米国内の定期便航空券(ビジネスクラス利用)と3泊分のホテル料金を合わせた費用は1人当たり30万円から。ホンダジェットだと、チャーター代に1泊分のホテル料金などを含め同60万円程度。これとは別に着陸料や駐機料など必要で、トータルコストは定期便利用の2倍プラスアルファだ。

 ■出張短縮や機内会議…時間を有効活用

 ANAHDはビジネスジェット機をチャーターすれば出張日程を短縮できるほか、機内で会議などもでき、時間を有効活用できるとPRする。航空大手の同社が手掛けることで安心感を高められるとも見込む。

 ホンダエアクラフトは今回、ANAビジネスジェットに対し、渡航距離や搭乗人数など顧客ニーズに合わせ、ホンダジェットを所有するチャーター便運航企業の紹介などの支援を行う。

 ホンダエアクラフトの藤野道格社長は「北米や欧州への出張でホンダジェットを知ってもらいたい。日本にもホンダジェットが離着陸できる空港が84あり、東京-仙台間は30分と新幹線より速い」とPRした。

 効率よく出張できるというメリットが日本の企業に受け入れられれば、ANAHDの新ビジネスは大きく飛躍しそうだ。(日野稚子)



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