レクサスのスポーツボートに熱い視線 自動車メーカーがクルーザーを開発するワケ(SankeiBiz)



 レクサスが発表した「スポーツヨットコンセプト」が、2018年のボート・オブ・ザ・イヤーの特別賞に輝いた。発表会場となった横浜ベイサイドの「パシフィコ横浜」。数々のクルーザーが展示される会場で、華やかなセレモニーが行われたのである。(レーシングドライバー/自動車評論家 木下隆之)

【写真で見る】スポーツヨットコンセプトの操縦席やキャビン

◆レクサス初のボート

 不肖、私もボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員を拝命しており、今年の特別賞に「スポーツヨットコンセプト」が相応しいと投票した。特別賞に輝いたのは、多くの選考委員に高く評価された証である。

 「そもそもレクサスがボートを造っていたの? 知らなかったぞ」

 初耳の人もおられるだろう。それも道理で、今回受賞した「スポーツヨットコンセプト」は、レクサスブランドとしては初の作品だ。コンセプトだからまだ市販されていない。認知度を高めていくのはこれからなのだ。

 レクサスが高性能スピードボートを発表したのは昨年1月のこと。米国マイアミで開催されたお披露目会では、世界から集まった専門家や富裕層の注目を集めた。今後に期待する声も少なくなかったのだ。

◆なぜボートを造るのか

 そもそも、レクサスがなぜボートを造ろうと思ったのか。想像するのは容易い。

 プレミアムブランドであるレクサスは、クルマを販売するのではなく、レクサスのある生活を提案してきたからだ。レクサスのある生活、そこにスピードボートが寄り添っていても不思議ではない。

 けして安価ではないレクサスを購入できる富裕層には、プレジャーボートを所有する方もおられるだろう。プレミアムモデルとクルーザーは親和性がある。レクサスでマリーナに乗り付けて大海原をクルージング…というシーンが浮かぶ。

◆心強いトヨタマリンの存在

 レクサスはトヨタマリンとも近い関係にある。トヨタマリンは「ポーナム」というブランド名で、28フィートから35フィートまでの高級クルーザーを製造販売している。

 28フィートでも約2000万円。35フィートならば約6000万円。かつては7000万円を超える45フィートを製造していたこともある。レクサスにとって、身近にトヨタマリンがいることは心強い。高級クルーザーの世界はけして未知ではなかったのである。

 自動車メーカーがマリンに参入してくれるのはこの上ない喜びである。というのも、ボートに望む最大の要件は、信頼性だと思うからだ。実は僕もボートで海遊びをすることがある。その経験からすれば、ひとたび船がトラブルを起こせば命の危険すらあるという緊張感を抱えていることだ。海では、絶大なる信頼性が不可欠なのだ。

 ボート乗りの多くは船に、飲み水や飴やチョコレートを非常食として積んでいる。大声を出せば陸から聞こえるような岸辺しかプカプカしない釣り人用の小さなボートでも、収納庫のどこかに保存食を忍ばせている。常に、漂流や沈没に身構えているのである。

◆クルマの先進技術を投入

 海水は塩水である。金属は塩に弱い。だというのに、金属でできた精密なエンジンやらギアやらをジャブジャブと海水に浸けているのである。ボートにとってこんな過酷な環境なの。そりゃ、故障もするよ。

 だからこそ、信頼性のある自動車メーカーのマリン参入は大歓迎なのだ。しかも、品質では世界一のレクサスが開発することは、とてつもない安心感なのである。

 特別賞を受賞した「スポーツヨットコンセプト」の内容を紹介するとこうなる。

 エンジンはレクサスRCFの5リッターV型8気筒を2基搭載。筆を振ったのはレクサスの象徴であるスピンドルグリルを手掛けたデザイナーだ。海上のある一点に自動で留まるという「バーチャルアンカーシステム」は、自動車に搭載されているカーナビのGPS技術の流用である。というように、クルマの技術が余すことなく投入されている。もちろん、レクサスならではの信頼性が注がれているに違いない。

 2018年のボート・オブ・ザ・イヤー特別賞に輝いたのは、多くの選考委員がレクサスボートの信頼性に期待を込めたからだと僕は思っている。



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