未上場総合建設業、中小業者の労務・外注費率が上昇(帝国データバンク)



 底堅い官・民の受注に支えられ、市場は活況を見せている。大手ゼネコン各社も好業績を続けており、2017年の建設業の倒産件数は1571件と9年連続で減少が続いている。しかし、全産業でみると倒産件数は増加に転じており、建設業界と関連が深い不動産業の倒産件数も増加している。また、深刻化する人手不足や資材価格の動きを踏まえると、建設業界においても労働力確保や生産性の向上など課題は多い。

 帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)および企業財務データベース「COSMOS1」(82万社、590万期収録)の中から、過去との業績比較が可能な未上場総合建設業者を抽出。「売上高」「売上原価率」「労務・外注加工費率」などについて、分析を行った。

2年連続で増収企業が過半数割れ

1、未上場総合建設業者の2016年度売上高合計は23兆5061億円となり、前年度比0.9%の増加となった。2年連続で増収企業が過半数割れしており、増加率は鈍化した

2、「原価率」の平均は81.8%と前年度比0.9pt低下、「労務・外注費率」の平均は54.4%で前年度比0.1pt低下した

3、地域別にみると、9地域中5地域で売上高合計が増加。「労務・外注費率」は5地域で上昇。都市圏では高止まりの傾向が続いた

4、売上規模別にみると、年商50億円以上の企業と10億円未満の企業で「労務・外注費率」が低下しており、1000億円以上では前年度比3.0ptの大幅低下となった。一方、10億円~50億円のレンジでは増加しており、規模間で差がつく結果となった

人手不足が労務・外注費などコスト上昇要因にも

 2011年の東日本大震災以降、アベノミクスや増税前の駆け込み需要を経て、地域や売上規模にかかわらず増収傾向にあった建設業界。2016年度は、業界全体としては増収ながら伸び幅は鈍化、一部の地域や中小企業では売上減少に転じている状況も見受けられるなど、好調が続いていた同業界にも陰りが見え始めている。現状、過半数の企業で選別受注により収益確保はできているものの、都市圏では労務・外注費率が高止まりし、売上10億円以上50億円未満の企業では、労務・外注費率が徐々に増加しており、人員の確保が建設業界においても主要課題となっていると推測される。2020年の東京五輪に向け、大型案件が本格的に動き出しているなか、人手不足が続くと労務・外注費がコスト上昇要因となることも考えられ、建設需要のピークアウト以降の業界動向にも大きな影響を及ぼす可能性が高い。

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