業者が生き物輸送を廃止 アイガモ農法ピンチ ひな出番も届かず(日本農業新聞)



 運送業者がひなの宅配便での輸送サービスを取りやめた影響を受け、米作りにアイガモを活用する農家が調達に頭を悩ませている。田植えシーズンを控え、大阪府松原市で全国にアイガモのひなを販売する「ツムラ本店」は、今春出荷予定の約5000羽のひなのうち、半数の配送方法が決まっていない。「対策のめどが立っていない」と困り果てている農家もいる。(猪塚麻紀子、尾原浩子)

半数の2500羽 “待機” 大阪の供給元

 ツムラ本店の津村佳彦社長は「どうしようもない。本当に困っている」と憤る。同社はアイガモを卵からかえし飼育から処理、加工、卸まで一貫して行う。30年近く配送を依頼していた西濃運輸が、昨年6月にひなの取り扱いを中止したためだ。複数の運送業者にも相談に行ったが、遠距離の運送は断られた。

 同社は例年6月ごろ、西日本を中心に全国のアイガモ水稲同時作(アイガモ農法)で米作りをする120~130のJAや農業団体、農家にひなを宅配便で届けてきた。

 今春に出荷予定の5000羽のうち2500羽は(1)直接引き取りに来てもらう(2)同社が中継地点まで送って相手に引き取りに来てもらう(3)航空便で送って空港まで引き取りに来てもらう──という代替方法を確保した。ただ費用が高くつき、個人の農家では対応できないところも多い。

 同社では、生後間もない時期からひなを水に触れさせるなど飼育管理を徹底。役目を終えたアイガモを引き取り、処理した肉を送り返すなど、きめ細かい対応で農家から好評だった。津村社長は「もうアイガモ農法をやめようか、と話す農家もいる」と苦悩する。

「田植え間近」 困惑 全国の農家

 自分でアイガモを卵からかえす農業法人や、近隣でひなを買える農家らは支障はないが、困っているのはこうした対応が難しい個人の農家らだ。

 新潟県上越市で水稲を栽培する新規就農者の牛田詩歩さん(31)は今春、実家の茨城県つくば市の母に依頼し関東の業者に寄ってもらい、車で輸送してもらう。牛田さんは「母に頼るのは応急措置。来春の田植えからどうしようか悩む」と困惑する。

 静岡県富士宮市で水稲80アールを栽培する龍田純忠さん(38)は、ひなを県外の業者に県内のインターチェンジまで運んでもらったり、千葉県の業者に取りに行く近隣の農家に頼んだりして、120羽を調達する予定だ。「ひなが死んだ際に応急的に追加で頼むこともできなくなる。送料も手間も大きく増える」と頭を抱える。

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