北海道「ボールパーク」計画、新風呼ぶか 周辺にレジャー施設、地域創成モデルに(SankeiBiz)



 いまはまだ何もない広大な土地に、開閉式屋根を持つ新球場を核とした施設群をつくる。北海道日本ハムファイターズの「ボールパーク」計画が雪解けとともに動き始めた。構想が発表されてから6月で2年。場所は札幌市に隣接する北広島市の「きたひろしま総合運動公園」予定地に決めた。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)

【写真で見る】日本ハムの新球場構想のイメージ図

 敷地面積は36.7ヘクタール、大リーグ流のボールパークには不可欠の広さである。構想は本拠地、札幌ドームからの移転にとどまらない。周辺にホテルやレストラン、ショップに温浴施設やキャンプ場、バーベキュー施設、公園に加え子育て施設なども設ける。広い駐車場も必要となる。

 ディズニーランド、いや、流通大手のイオンが全国に展開するモール、あるいは三井不動産などのアウトレットパーク、その中心施設を野球場に置き換えたと考えてみればいい。

 ◆地域創成のモデルに

 「今後、観客動員の急激な成長は難しくなっていき、新たなファン層の開拓は不可欠。野球の楽しさを伝えていくことはもちろんだが、他の魅力のある要素を活用することが重要」

 球団の前沢賢事業統轄本部長は多様化する余暇の過ごし方の中で、野球生き残りのためのボールパークの役割を説く。

 大リーグでは「野球を見るスタジアム」ではなく、「野球も楽しむボールパーク」となって久しい。日本でも福岡ソフトバンクや横浜DeNAがそれぞれ本拠地スタジアムを支配下に置き、ボールパーク化を進めている。東北楽天も所有者の仙台市から管理許可を得て、周辺環境の整備に取り組んでいる。

 日本ハムは年間15億円を支払っているものの、札幌ドームでは店子(たなこ)に過ぎない。場内の看板広告や飲食の売り上げの大半は収入とならず、観客サービスに向けた客席の改善なども独自に行えない。選手の故障につながる人工芝改修もままならない状況下、構想が生まれた。

 スポーツ施設を中核とした集客構想は、いま盛んに吹聴される「スポーツによる地域創成」のモデルともなろう。

 総事業費は500億円とも600億円とも見込む。親会社の日本ハムは、2017年3月期の連結売上高が1兆2022億円と世界屈指の食品会社である。しかし、総事業費は連結営業利益538億円に匹敵する。大企業といえども、冒険といっていい。

 球団と親会社、広告代理店最大手の電通が共同出資して準備会社「北海道ボールパーク」を設立。23年の開業に向けて各方面の協力を仰ぎ、具体化策を推進していく。

 ◆自治体の協力不可欠

 巨大プロジェクトには自治体の協力が欠かせない。いや、積極的な参画も必要となろう。

 北広島市は人口約5万8000人、札幌都市圏に属し、新千歳空港に隣接する。土地の無償提供、商業施設を除いた球場など公園施設は固定資産税を10年間免除すると申し出た。

 さらに上野正三市長自ら札幌市のJR北海道本社を訪ね、新球場最寄りの新駅開設を陳情している。建設予定地とJR千歳線・北広島駅との距離は約1.5キロ。新駅開設と輸送力増強は重要課題だ。ただ、プロ野球の開催日数はポストシーズンの試合を数えても年間80日余り。収益減少に悩むJR北海道に、新駅は足かせとなりかねない。

 今後、北広島市とJR、球団の3者協議で解決に向けて話し合いを続けていく。地方都市にとって、プロジェクトは活性化の格好の手段。道央自動車道が市内を走り、新千歳空港に隣接することで道内主要都市、国内外からの集客という新たな展開も期待できる。

 ボールパークは10年間で北海道に約8000億円の経済効果をもたらすと試算される。無視できないのは人口約195万人の札幌市。札幌市は1972年冬季オリンピックの主会場だった真駒内公園への誘致を目指した。敷地の広さと周辺住民の反対から北広島市に落ち着いた。

 移転後もこれまで同様、“市民球団”としての支えがあるだろうか。札幌、北広島間は20キロ余り。距離以上に遠く感じ、客足が落ちる可能性は否定できない。球団は、「同じ札幌都市圏。出向く価値のある場所をつくることが重要」とし、アマチュア関連施設の充実による「ファン拡大を考える」という。

 北の大地に、ボールパークは新たな可能性を吹き込むことができるか…。



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