冷めてもおいしい“大粒”が自慢(日経トレンディネット)



コシヒカリとの二本柱で、農作業ピークと高温リスクを分散

 藩政期に生産が始まり、ブランド野菜としても有名な加賀野菜、能登野菜をはじめ、古くから農業が盛んな石川県。稲作も長い歴史をもち、手取川扇状地を中心とする県南部の加賀地域では、豊富な水と広大な平野部という恵まれた自然環境を生かして、米作りが行われてきた。だが、厳しい現状もある。「農産物価格の低迷や資材価格の高騰により、農業経営は難しくなってきています。最近は大規模経営農家が増えていますが、経営の次世代継承が大きな課題。地域によっては、農業者の減少や高齢化が深刻化しています」(蔭田雅史氏)。

 現在、石川県で生産されている米の70%はコシヒカリ。大部分の農家がコシヒカリをメインに栽培しているが、1つの品種に偏り過ぎるとリスクも大きくなる。「天候や病気の流行などにより、思うように収穫できない年も出てきます。特に近年は夏の高温化により、収穫されるお米の中に“白未熟粒”と呼ばれる、白濁したお米が混じるケースが増加しています。こうした米は検査等級が落ちますから、高く売れず、農家の経営はますます厳しくなってしまいます」

 さらに、1つの品種に偏ると農作業が一時期に集中し効率が悪くなる。経営規模を拡大する農家にとっては、できるだけ収穫期間を長くとることで、収穫機械や労働力を分散させ、低コストで効率よく栽培したいという思いがある。

 2006年に開発が始まった「ひゃくまん穀」。2013~15年に石川県農林総合研究センター圃場で行われた試験栽培の平均を見ると、稲穂の出る時期は「コシヒカリ7月30日に対し、ひゃくまん穀8月7日」。稲刈りの時期は「コシヒカリ9月6日に対し、ひゃくまん穀9月19日」。稲刈り時期がコシヒカリよりも約2週間遅い。「暑さのピークがどこに来るかというリスクが回避できるうえ、農作業も分散できます。コシヒカリのみを育てたのでは、一気に収穫しなければなりませんが、コシヒカリとひゃくまん穀の両方を育てれば稲刈りの時期を分けられますし、夏の高温による品質低下リスクも分散できます」。

 さらに「ひゃくまん穀」は茎が固くしっかりしているため、強風にあおられても倒れにくい。「コシヒカリよりも高い収量が見込めるのではないか」と、農家からは期待の声が上がっている。

 そんな期待感が「何よりうれしい」と蔭田氏。「ひゃくまん穀は、生産者のことも考えて開発したお米。気候の変化などによるリスクを軽減し、農家が両方のお米の生産に安心して取り組めるようになるといいですね」

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