増殖するシェアリングエコノミー、本当に地方を救えるのか(日刊工業新聞電子版)



■経済のストック化と低成長が両立

 シェアリングエコノミー(共有経済)が急拡大している。国内の大手企業の参入もありサービスが広がるうえ、2020年東京五輪・パラリンピック開催を控え、訪日外国人の利用も見込まれる。少子高齢化が加速する地方にとって、課題解決の有力手段となる可能性も秘める。共有経済の波が日本経済に変革をもたらす日はそう遠くない。

 矢野経済研究所のシェアリングエコノミー市場に関する調査によると、16年度の国内市場規模は15年度比26・6%増の約503億円で、21年度に約1070億円に膨らむと予測する。世界ではさらに増加する。世界的に普及する背景について、シェアリングエコノミー協会の佐別当(さべっとう)隆志事務局長は、「インターネットが広がり、本人確認や共通の友人検索機能などが進んだ参加交流型サイト(SNS)や、位置情報や決済活用などスマートフォンのデバイス自体の進化も重なり、シェアリングエコノミーの環境が整った」とし、ITの進化を挙げる。

 日本の消費に詳しい日本総研調査部マクロ経済研究センターの小方尚子主任研究員は、「遊休資産を持つ豊かな日本人が増えている『経済のストック化』が進む一方で、賃金が上がらず副業・兼業の需要が増える低成長が両立した経済的な要因もある」と自身の見解も示す。

■民泊サービスに注目

 比較的規制の緩いシリコンバレーなどから、米ウーバー・テクノロジーズや米Airbnbが台頭。日本では、11年の東日本大震災の影響からクラウドファンディングなど、ネット上で完結するサービスが関心を呼んだ。その後、国内で注目されたのは民泊だ。17年6月の「住宅宿泊事業法」(民泊新法)の成立を受け、注目度は高まる。一方、ウーバーとタクシー業界の関係のように、共有経済は既存産業に対する脅威として認識された。

 普及に向け動いたのは、シェアリングエコノミー協会。16年に設立し、ガイアックスやスペースマーケット(東京都新宿区)などシェアリングエコノミー事業者を軸に関係事業者で構成する。協会は普及活動や環境整備、会員同士のマッチング、勉強会の開催を行う。近年、ANAホールディングスとガイアックス、丸井グループとラクサス・テクノロジーズ(広島市中区)の連携など大手企業参入もあり、肯定的見方が増える。

訪日外国人に人気の民泊(イメージ)
 政府も一億総活躍社会を掲げる中で、シェアリングエコノミーを成長戦略の一つと位置付ける。内閣官房の情報通信技術総合戦略室に「シェアリングエコノミー促進室」を設置し、ガイドラインの作成に取り組む。政府が力を入れる背景には、地方創生への経済波及効果がある。例えば、過疎化地域におけるライドシェア(相乗り)活用は街の重要なインフラとなり、クラウドソーシングによる雇用創出も期待できる。また、都市圏もスペースなど遊休資産活用が見込める。

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