粘りで勝負、米どころの威信懸けた宮城の「だて正夢」(日経トレンディネット)



 古くから日本有数の米どころとして知られる宮城県は、米の歴史を作ってきた。1963年、宮城県古川農業試験場にて「ササニシキ」が誕生。コシヒカリとともに日本を代表する米として、一時代を築いた。1981年には、同じく宮城県古川農業試験場にて「ひとめぼれ」が完成。粘り、ツヤ、うまみ、香りのトータルバランスが良いと評判を呼び、全国にファンをもつ人気米になった。現在も県内の作付面積75%を占める主力品種になっている。

【関連画像】宮城県古川農業試験場で開発された新品種「だて正夢」。2017年にプレデビュー、2018年に本格デビューを果たす

 順調に見える宮城県の米事情だが、「近年は危機感が強まっていた」と、宮城県農林水産部農産園芸環境課技術副参事の薄木茂樹氏は話す。「ゆめぴりか(北海道)、青天の霹靂(青森)、新之助(新潟)など、全国の産地が相次いで高価格米を投入してきました。このように競争が激化している状況にあって、宮城県産米の存在感が弱まりつつあると感じていました」(薄木氏)。

 実際、宮城県が首都圏の消費者に「米の産地イメージ」を調査したところ、コシヒカリについては約80%の人が「新潟県」と回答。一方、「ひとめぼれ」は、「特定の産地イメージなし」と答えた人が約40%と最も多く、「宮城県」と回答した人は約15%にとどまった。「ひとめぼれ」の名を知ってはいても、宮城県の米であるという認識は低いのだ。

「ササニシキ」や「ひとめぼれ」とはまったく異なる食味

 こうした状況を受け、宮城県で新品種の開発がスタートした。

 「強く意識したのは、お米は“食べ分ける時代”になっているということ。おかずのジャンルやその日の気分などによって、お米を替えるというライフスタイルが、普通になってきています。ですから、新品種は『ササニシキ』や『ひとめぼれ』とはまったく異なる食味を目指しました」(薄木氏)

 「ササニシキ」はやさしく上品な味わいが特徴で、すしや和食に合うとされる。「ひとめぼれ」は毎日の食卓に向く“万能感”が売り。では新品種は?

 「もちもちとした粘りをもち、かむほどにお米本来の甘みとうまみがあふれてくる。そんなぜいたくな時間を得られる品種を求めて、宮城県古川農業試験場が人工交配を重ねました。そして完成したのが『だて正夢』です。低アミロース米に区分されるお米で、2017年がプレデビュー。来年は収穫量を増やして正式デビューに臨みます」(薄木氏)

 低アミロース米は、通常のうるち米に比べて、でんぷんの構成成分であるアミロースの比率が低い。粘りが強く、冷めても食味が低下しにくいのが特徴だ。代表的な品種として「ミルキークイーン」や「ゆめぴりか」が知られている。「以前、宮城県でもミルキークイーンの栽培に取り組んだことがありました。でも、宮城の風土に合わず、うまくいきませんでした。『だて正夢』はその経験も生かして開発されました」(薄木氏)。

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