6日から日米首脳会談 自由貿易こそ両国の国益にかなう(日刊工業新聞電子版)



 安倍晋三首相は6日に開かれる日米首脳会談で、両国の国益にかなう自由貿易の意義を粘り強く訴えてもらいたい。

 興味深い分析がある。ある有識者によると、米国が望む日米自由貿易協定(FTA)を締結しても、米国の実質成長率は約0・4%しか押し上げられない。一方、米国が環太平洋連携協定(TPP)に復帰すれば、効果は約0・7%に倍増するという。「米国第一主義」を掲げるトランプ政権が真の国益を追求するよう願わずにはいられない分析結果だ。

 トランプ政権の保護主義には米国内でも業界ごとに温度差がある。米国の農畜産業は、TPP離脱により豪州との関税率がますます拡大する事態を懸念し、日本が課している米国産冷凍牛肉への緊急輸入制限(セーフガード)の見直しなど市場開放圧力を強めている。

 一方、米国の自動車産業は北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の行方を警戒する。米国製部品を50%以上使うよう求めた「原産地規制」は米自動車メーカーの価格競争力を急速に低下させかねない。米国の自動車団体はNAFTAの重要性を訴える新たな業界団体を立ち上げて政権に抗議している。

 難航するNAFTA再交渉は越年が決まり、トランプ政権は米韓FTA再交渉も控える。米通商代表部(USTR)はこれら交渉に手間取り、日米FTA交渉まで手が回らないとされる。だが18年の中間選挙を控え、日米首脳会談で何らかの対日貿易赤字の是正策を求めてくる可能性は払拭できない。

 日本が目指している米国を除く11カ国による「TPP11」が10日開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で大筋合意できる可能性がある。首相にはTPP11が市場開放の上限であるとのメッセージを日米首脳会談でも発信し、自由貿易圏拡大の旗を振り続けてほしい。

 幸い日米両国は株高が示すように経済が堅調だ。首脳会談では通商問題での対立を避け、喫緊の課題である北朝鮮情勢をめぐる安全保障に議論の多くを費やしてもらいたい。

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