観光資源は 農業そのもの 「日本産」技術を公開 授粉や剪定…体験提供 山梨の果樹園(日本農業新聞)



 観光などで日本を訪れるインバウンド(訪日外国人)が右肩上がりに増える中、日本文化や栽培技術を伝える本格的な農業体験で、各国から旅行者を呼び込む農園が出てきた。収穫体験などのイベントだけでなく、日本の高品質な果実を生産する栽培技術や農村の風習を伝えることで、「日本を知りたい」と定員をはるかに超える申し込みが集まる。草刈りや剪定(せんてい)などの農作業ボランティアで来る人もおり、農村の新たな観光として浸透し始めている。

 果樹園が広がる山梨県南アルプス市。桃園に陽気な声が響く。草刈りに没頭するのは海外からの旅行者だ。米国やドイツから来た5人が約1週間、農園の宿舎に滞在してボランティアで農作業を体験する。米国人のジョン・シエルさん(26)は「観光旅行では得られない、日本文化を体験できる。果樹園からは富士山も見える」と満足げだ。

 受け入れるのは観光農園「中込農園」。英語のホームページ(HP)で、授粉や剪定といった日本人がこだわる栽培技術を発信。伝統文化や風習なども伝え、「本物の日本を知りたい、感じたい」と望む各国の旅行者を呼び込んでいる。

 農園代表の中込一正さん(60)は元英語教師で、米国の大学院に留学した経験を持つ。インターネットが普及し始めた1997年には英語で農園のHPを開設し、訪日外国人に果実の収穫や農作業の体験を提供する観光農園を軌道に乗せた。現在、訪れる外国人は年間100人。ネットやツアー会社などを通じて年間3000人の申し込みが舞い込み、「受け入れ切れず、ほとんど断っている」ほどだ。

 人気の秘密は、海外の人々に日本の高品質な果実生産の実際を伝え、理解してもらうこと。英語版HPで、枝の剪定から授粉、摘果といった一連の手作業を10ページにわたり解説する。東南アジアなどでは日本産果実が1個数千円で売られており、「日本ではどうやって作っているのか」と興味を抱き、農園を訪れる人もいる。中込さんは「勤勉な国民性、もてなしの心といった日本の本質を伝えることが、外国人の心をつかむ」と強調する。

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