鉄連、東京都の「グリーン購入調達」にかみつく 電炉鋼優先に反発(日刊工業新聞電子版)



■鉄鋼の資源循環システム崩壊?都に見直し要請

 環境負荷が高炉由来の鋼材より小さいとして、電炉鋼材を公共工事の優先調達物品に指定している東京都に対し、日本鉄鋼連盟が見直しを求めている。電炉鋼材の原料となる鉄スクラップの起源をたどれば、最終的に高炉鋼材へ行き着く。こうした点を踏まえ、両鋼材を分け隔てなく扱うべきだとの主張だ。

 だが、リサイクル材である電炉鋼材の利用は今後、循環型社会に向けて世界的に増える方向にある。こうした中で都の方針を覆すのは容易ではなそうだ。

 鉄連が問題視するのは「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)に沿って都がまとめた「環境物品等調達方針」。2014年度の改定で「電炉鋼材などのリサイクル鋼材」を、公共工事で優先的に採用する「特別品目」に指定した。

 20年の東京五輪・パラリンピック開催をにらみ、循環型社会の姿を世界にアピールする狙いと見られる。強制力はないが、都市整備局の担当者は「国内で出る鉄スクラップを再生利用する資源循環の一環だ」と電炉鋼材の活用に期待する。

 今まで高層ビルなどに大量の鉄鋼を使ってきた日本は、今や米国に次ぐ世界第2位の鉄スクラップ輸出国となった。担当者は「これらの資源を、国内でもっと活用すべきではないか」と強調する。

 これに対して鉄連は電炉鋼材の使用量が日本で増えれば、輸出に回る鉄スクラップが減り、海外で高炉鋼材を増産する動きが強まると警戒する。「日本の高炉より効率が悪い海外の高炉が増産に動けば、二酸化炭素(CO2)の排出量が地球規模で増える」(進藤孝生鉄連会長=新日鉄住金社長)との指摘だ。

■東京都は態度保留、不透明な情勢

 電炉鋼材の原料となる鉄スクラップも、さかのぼれば高炉鋼材にたどり着く。このため鉄連は「高炉と電炉のいずれが欠けても、鉄鋼の資源循環システムは成り立たない」とかねて主張してきた。

 ただ、今後は新興国などの高層ビルや自動車から大量の鉄スクラップが出て、これらを原料とする電炉鋼材の生産量が急増すると見込まれる。

 各国の業界団体などが加盟する世界鉄鋼協会は、高炉鋼材を含む世界の粗鋼生産量全体のうち電炉鋼材の割合が、今の3割から35年には5割に高まると予想。ある電炉大手幹部は「電炉鋼材の利用拡大が、循環型社会構築への重要課題になる」と指摘する。

 都は「(鉄連と)意見交換を重ねた上で対応を検討する」(担当者)と態度を保留しているが、こうした見通しの中で鉄連の主張がどこまで受け入れられるかは不透明だ。

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