ゆうちょ限度額、緩和議論大詰め カギ握る金融庁(日刊工業新聞電子版)



■銀行、資金シフト懸念

 ゆうちょ銀行の貯金預入限度額の緩和をめぐる議論が不透明感を増している。政府の郵政民営化委員会が行った関係団体からの一連の意見聴取が26日までに事実上終えた。銀行業界は従前通り、ゆうちょ銀の通常貯金について預入限度額の対象から外す案に反対し、全国郵便局長会や消費者団体は妥当との意向を示した。ただ、金融庁は反対姿勢を示しつつも容認とも受け取れる発言をしている。

 近く民営化委の委員同士で議論し提言をまとめる。撤廃に傾けば銀行業界からの反発は必至だ。郵政民営化委員会は26日までに日本郵政、金融庁、銀行業界、生保業界、消費者団体などから意見聴取した。

 日本郵政の長門正貢社長は利用者の利便性の向上や事務負担軽減を理由に、定額・定期貯金の限度額1300万円は維持し、通常貯金を預入限度額の対象から外す案を要望。消費者団体「全国地域婦人団体連絡協議会」は「限度額が設定されていると、身近な金融機関が郵便局しかない(地域の)利用者に大きな不便を強いている」などとして対象から外すことを妥当とした。全国郵便局長会も「除外案」を希望するとともに定額・定期貯金の限度額の一定額引き上げを要望した。

 これに対して銀行業界の各団体からは、地方を中心に民間金融機関からゆうちょ銀に預金を預け替える資金シフトを将来的に招きかねないという懸念から反対の声が上がった。

 全国銀行協会は「公正な競争条件が確保されるに至っていない中、地方金融機関への潜在的影響を十分に考慮すべきだ」とした。全国地方銀行協会と第二地方銀行協会は「ゆうちょ銀に資金シフトした場合、厳しい経営環境にある地域金融機関の経営が悪化し、ゆうちょ銀と民間金融機関の協業の枠組みが崩れ、地域経済に影響を与える恐れがある」と反対を表明した。

■金融庁、反対姿勢も容認?

 資金シフトの懸念に対し、日本郵政の長門社長は28日に開いた定例会見で「2年前に限度額を引き上げて以降、各銀行の貯金の集まり具合をみると、ゆうちょ銀は最も低い方の伸び率と認識している。融資のできない(ゆうちょ)銀行に資金シフトが本当に起きるのか」と反論した。

 こうした中、カギを握るのがゆうちょ銀の監督官庁となる金融庁だ。「限度額の緩和は、ミクロでは地域金融機関の流動性預金がゆうちょ銀に流れる恐れがある」とし、「マクロで資金シフトが起きていないから限度額を緩和してよいわけではない」と反対の姿勢を示した。その一方で「限度額の緩やかな緩和は既存の限度額の枠組みの中でどう考えるのかがよいかという問題だ」とも述べた。

 民営化委の岩田一政委員長は「本来は限度額は動かさない方がよい。ただ、総合的に考えれば緩やかに限度額を拡大することは考えられるとのニュアンスだったと思う」とした。民営化委の次回開催は4月になる見込み。そのため提言のとりまとめは4月に持ち込まれそうだ。

【関連記事】

Related Post



コメントを残す