東日本大震災から6年―“東北全域”で始まった、起業家コミュニティーの輪(日刊工業新聞電子版)



 東北全域にわたり、ベンチャー企業の成長を後押ししながら起業家のコミュニティーづくりを進める取り組みを仙台市などが進めています。今年7月にスタートした「東北アクセラレーター2017」で、このほど支援対象となる15チームが決まりました。神戸市や福岡市をはじめ、ベンチャー支援に熱心な自治体はけっこうありますが、東北全県という広域での支援は全国でも珍しいということです。
 その理由について、仙台市の伊藤敬幹副市長は「東北は課題の先進地。名誉なことではないが、解決策となるソリューションを生み出し、事業として長続きさせることで東北全体の底上げにつなげたい」と説明しました。プロジェクトを起点に事業創出のためのネットワークを広域で作り上げ、後に続く起業家予備軍のロールモデル(模範)にしていければとの期待もあります。

121チームが応募、伝統野菜のスープなど採択

 今回の支援プログラムへの応募は121チーム。そこから書類選考や面接を経て20チームが選出され、10月29日に仙台市若林区の「INTILAQ(インティラック)東北イノベーションセンター」で開かれたビジネスプランコンテストで、支援対象を決定しました。選抜チームには、東北アクセラレーターを仙台市と共同で運営するゼロワンブースター(東京都港区)が中心となり、18年2月まで各チームの事業拡大に向けた支援プログラムを実施する予定となっています。
 採択されたビジネスモデルでは、やはり地元の素材を生かしたものや、介護・福祉関係の事業が目立つ。たとえば、アイローカル(宮城県女川町)は宮城県のオーガニック素材を使った肌にやさしい手作り石けんを商品化。まんまーる(山形県鶴岡市)は食物アレルギーの児童のため、規格外品の山形の伝統野菜を使ったスープを製造・販売しています。

82歳iPhoneアプリ開発者の師匠筋も登場

 福祉関係では、manaby(マナビー、仙台市)が対人関係の苦手な障がい者向けに、エンジニアやデザイナーとして在宅で働けるための就労移行支援を、TSUMIKI(ツミキ、福島市)は医療・福祉分野の求人と求職者のマッチングを行うほか、シニアリンク・コミュニケーション(福島市)では、介護が必要な高齢者向けに自分で買い物が楽しめるイベントを開催しています。
 また、高齢者向けのプログラミング教育を手がけるのがテセラクト(宮城県塩釜市)。覚えている人も多いかと思いますが、米アップルが6月に開いた世界開発者会議(WWDC)に最高齢プログラマーとして日本人女性の若宮正子さん(82)がティム・クックCEOじきじきに招待され、大きな話題になりました。実は彼女にプログラミングを手ほどきした人物が同社の小泉勝志郎社長なのでした。小泉社長によれば、「高齢者はスマートフォンでピンチやズームといった指を滑らす操作ができない。杖をついている人は、両手でスマホを持って写真が撮れない」ことから、そうしたハンディキャップを補う機能も開発しているそうです。

【関連記事】

Related Post



コメントを残す