警察官からホームレスになった酒乱男の末路(東洋経済オンライン)



ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2017年1月時点で約5500人(うち女性は約200人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内とは何か。本連載はホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る。

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■「あいりん地区」釜ヶ崎と呼ばれる街を歩いた

 2014年の暮れ、大阪・西成の「あいりん地区」、古くからの住人に釜ヶ崎と呼ばれる街を歩いた。

 ドヤ街のドヤは宿の隠語。労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ。もっとも最近では住人の高齢化が進み、ドヤの多くが生活保護アパートになっている。

 その日は1日中、ホームレスに話しかけたが、あまり収穫はなかった。

 ため息をつきながら缶コーヒーを飲んでいると、ヨタヨタと年取った野良犬が歩いてきて、目の前にペタリと座り込んだ。昔はこのあたりには何十匹も野良犬がいて、取材をしているとよく吠えられた。

 今ではおとなしい老犬が何匹かいるだけになっている。

 17時をまわり急にあたりが暗くなっていく。人探しはあきらめてJR新今宮駅に向かう。以前に比べたらずいぶん治安はよくなったけれど、それでも荒っぽい街なのは間違いない。少し緊張しながら住人からセンターと呼ばれる巨大な施設の前を通る。

 センターとは西成の寄せ場になっている建物だ。職安(職業安定所)のほかさまざまな施設が入っている。数年後には取り壊されて、高級リゾートホテルに生まれ変わると言われているが、現状だけ見ているとそんな未来はなかなか想像できない。

 センターの閉じられたシャッターの前には段ボールや毛布で寒さをしのぎながらホームレスたちが眠っている。

 12月の寒空の下の野宿は厳しい。体の芯から凍える。下手をすると死ぬ。

 「兄ちゃん、タバコくれへんか?」

 と暗闇から低い声が聞こえてきた。

 見ると、段ボールの上にあぐらをかいた男性がいた。僕はポケットからHOPEを取り出すと、箱ごと彼に渡した。僕はずいぶん前にタバコをやめているが、ホームレスの取材をする時は、お礼に渡せるよういつもタバコやお酒を持ち歩いている。

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