破綻したフリーテル 受け継いだ企業の狙いは「eSIM」(日経トレンディネット)



 2017年12月に経営破綻したプラスワン・マーケティング(東京・港)の端末事業を譲り受け、新生「フリーテル」としてスマートフォン市場に進出したMAYA SYSTEM(東京・新宿)は、2018年2月9日に新製品発表会を開き、その経緯を説明した。同社はなぜ、あえて破綻したブランドのスマートフォン開発を手掛けるという決断を下したのだろうか。

【関連画像】eSIM対応端末の開発を検討していたMAYA SYSTEMが、eSIM対応端末開発を打ち出したプラスワン・マーケティングとの協業に向けて交渉していたことが今回の事業譲渡につながった

●フリーテルを引き継いだMAYA SYSTEMとは

 自社でスマートフォンを開発する一方でMVNO(仮想移動体通信事業者)として通信事業も手掛けるという独自の戦略と、有名人を起用したテレビCMをはじめとする積極的なプロモーション攻勢で注目されていたプラスワン・マーケティング。同社は2017年半ばから深刻な経営不振に陥り、同年11月に通信事業を楽天に売却。端末の開発に特化したものの経営を立て直すことはできず、翌12月には民事再生法の適用を申請するに至った。

 そのプラスワンからフリーテルのブランドを譲り受けたのが、MAYA SYSTEMだ。同社の設立は2007年で、当初はコールセンターを中心とした人材派遣業を手掛けていた。現在は人材派遣業をグループ会社のMAYA STAFFINGへと移管しており、MAYA SYSTEMの中心事業はITソリューション関連となっている。

 スマートフォンとはあまり関係がないようにも思えるが、社長の吉田利一氏によると、同社が端末事業を譲り受けたのにはモバイル、そして「eSIM」が大きく関係しているという。

eSIMでの協業から端末事業の譲渡に

 実はMAYA SYSTEMは、世界100カ国以上で利用できるモバイルWi-Fiルーター「jetfi(ジェットファイ)」を2016年から提供している。このjetfiの最大の特徴は「eSIM」(Embedded SIM、イーシム)を搭載していることだ。eSIMでは情報を書き換えることが可能なため、jetfiはその特性を生かして現地の通信事業者が提供するネットワークに接続することで、国際ローミングと比べて安価な通信料を実現している。吉田氏は、端末を世界中で利用可能にするeSIMに大きな可能性を感じてjetfiの事業を展開するに至ったと言う。

 eSIMの事業を拡大するべく、自社でeSIM対応スマートフォンを開発したいと考えたものの、ノウハウを持ち合わせていなかったと吉田氏。ところが2017年6月、プラスワンがeSIM対応の端末を開発し、2018年春に販売を開始するとの報道を目にした。そこで吉田氏はプラスワンとコンタクトを取り、協業に向けた話し合いを進め、出資も検討していたと言う。その途中でプラスワンが経営破綻したため、結果的に端末事業の譲渡を受けるに至ったというわけだ。

 MAYA SYSTEMでは、譲渡された端末事業のリソースを生かし、eSIM対応スマートフォンの開発を進めているとのこと。MVNOはデータ通信の国際ローミングサービスを提供していないため、MVNOの利用者は海外渡航時にデータ通信が利用できない。その不自由さをeSIMによって解消したいとしている。

 さらに今後は、eSIMの技術を活用し、海外でも利用できるIoT向けのチップ開発も進めていくとのこと。eSIMを生かすビジネスの拡大こそが、プラスワンの端末事業を譲り受けた大きな狙いだったことが分かる。

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