アイドル新潮流 活気づく中間層がアイドル界をけん引(日経トレンディネット)



「見て楽しむ」イベントから「アイドルを発見する」イベントへ。アイドルの祭典といえる大型夏フェスの目的が変わる様子を関連記事「アイドル新潮流 本格的楽曲派台頭で変わるイベント」 で紹介した。背景にあるのは、長らく続くトップアイドルの固定化と、下層に位置するライブアイドル(いわゆる地下アイドル)の上昇志向の鈍化という現状だ。これを打破する試みの一環として、前編では楽曲派の台頭とイベントの変化の例を挙げた。そうした層のアイドルたちがいま、新たな勢力としてアイドル界を活気づけている状況を俯瞰(ふかん)してみたい。

【関連画像】2011年に結成された楽器もできる6人組アイドル「バンドじゃないもん!」。2016年にはポニーキャニオンから2度目のメジャーデビューを果たし、WEGOとのコラボなどファッションアイコンともなっている(NewYear Premium Party 2018にて撮影)

●下層からトップに昇る道が見えない

 伸び続けるアイドル市場。2017年12月初頭に矢野経済研究所が発表した「『オタク』市場に関する調査」によれば、「2017年のアイドル市場規模は前年比12.3%増の2100億円」。日本のGDPが前年比1.8%増(みずほ総合研究所)であることを考えると、この市場の活況がよく分かる。一方で、トップアイドルが長らく固定化し、また、過度な競争の結果、上昇志向を失うライブアイドルたちが増加。新たなトップアイドルが育ちにくい土壌が作られている状況も見えている。

 従来、ライブアイドルからトップアイドルへの道筋はシームレスにつながっていて、アイドルはその実力や運営の手腕次第で集客を増しながらトップに上り詰めて行くシナリオが描けていた。ところが現在のアイドル界では、個々のアイドルの集客力が低下してトップアイドルへのチャレンジが困難になっている。

 そこで、このトップアイドルへのチャレンジをマスメディアやイベンターの力を使って加速させようとしたのが、アイドルの選抜企画である(関連記事「アイドル新潮流 本格的楽曲派台頭で変わるイベント」 を参照)。地上波テレビや夏フェスなどの大舞台にライブアイドルを立たせることで、より多くのアイドルファンに周知させ、将来的には一般認知までリーチを伸ばしていこうとする狙いだ。このトップアイドル予備軍のことを本稿では「中間層アイドル」と呼ぶ。ライブアイドルからは一歩抜け出したものの、いまだ一般の目には留まっていないアイドルたちのことである。

●安定が停滞を生むライブアイドル

 もう少し詳細にそれぞれのアイドルについてその状況を見てみたい。まずは、ライブアイドルについて。

 従来のアイドルは、より大きなステージを目指す――すなわち、集客数を増やしていくことがそのまま収益の拡大と存続につながっていた。このため、アイドルを抱える事務所などは、多少無理してでもプロモーションにコストをかけて集客することに専念していた。

 現在のライブアイドルでは、従来当たり前だったこの論理が成り立ちにくくなっている。アイドルピラミッドの下層に位置し、数としてはアイドル界の大半を占めており、一見活発に活動しているように見えるライブアイドルだが、その実、ほとんどのアイドルがこの層から抜け出せない状況に陥っている。その理由は主に、過剰なアイドル数による熾烈な競争と、パイ(ファン)の取り合いでそれぞれが集客数を増やせないことにある。加えて、低コストでの運営が可能になったことにより、あえてリスク(集客増への投資)を取らない運営やアイドルが増えていることも無視できない。



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