ペットのアレルギー検査、急増するニーズに課題(日経トレンディネット)



 2017年10月時点の全国の犬の飼育頭数は約892万頭、猫の飼育頭数は約952万6000頭と推計されており、日本はペット大国だ。ペットを家族の一員ととらえる層は広がっており、医療についても人間同様に十分に受けさせたいという飼い主は多い。そのなかでもペットが皮膚炎になったことから食物アレルギーが発覚し、飼い主がその治療に奔走するケースが増加。これに対応する病院も拡大中だ。

【関連画像】東京動物医療センターで推奨している獣医師専用の療法食の一つ「BLUE NATURAL Veterinary Diet 犬用HF/食物アレルギーに対する加水分解フード(900g)」(実勢価格は2140円※編集部調べ)。分子量が非常に小さく食物アレルギーの原因となりにくい「加水分解サーモン」を使用

 そして今、急速に広がっているのが動物アレルギー検査(神奈川県相模原市)が提供する「動物アレルギー検査」だ。全国で導入する動物病院が急増しており、より正確な検査結果が得られるとあって、選択される機会が増えていることは前回記事でお伝えした。

 しかし一方で、東京動物医療センターの獣医師で皮膚科認定医の神宮司恵子氏は、受診した犬にアレルギーの疑いがあった場合でも、初めから動物アレルギー検査を勧めたりはしないという。「飼い犬のアレルギーの有無の検査希望は多いが、検査で何かに反応したとしても、必ず発症するとは限らない。アレルギー体質を持っていても、一生、発症しない場合もある」(神宮司氏)。では同センターではどのようにアレルギーの診断を下すのか。

 最新の動物アレルギー検査とその対応、アレルギーの予防について3回にわたって紹介するこの企画。第2回は、実際のアレルギー検査や対応について話を聞いた。

【前回の内容】

■ペットがアレルギーを発症? 検査拡大の理由

動物アレルギー検査には3万5000円かかる

 同センターではまず、アレルギーが疑われる症状で受診した場合も、ほかに似たような症状が出る病気はないかを調べる「除外診断」を行う。例えば食事が原因のアレルギーなら、発症するのは生後半年齢から3歳くらいまでとされているため、あまりにも高齢な場合、食物アレルギーとは考えにくいと判断するという。「ただし受診時の年齢が高くても、症状がいつから始まったかを聞くと該当する場合もある」(神宮司氏)。

 人のアレルギーと同じように、犬にもアトピー性診療のガイドラインがある。7つの診断項目にいくつ当てはまるかを見たうえで、「アトピー性皮膚炎の疑いがありそうだ」と考えると、ここでやっと、アレルゲンを突き止める治療が始まる。ドッグフードに含まれている原料がアレルゲンになっている場合、投薬治療をしなくても食事を変えるだけで症状が改善される場合がある。よって食事を変えて今ある症状が改善されるかどうかを観察する「除去食試験」を行う。

 この段階でようやく、何のアレルギーかを探るための選択肢として動物アレルギー検査が浮上する。一つのアレルゲンの除去食試験に何週間もかかるので、数多いアレルゲンから特定するには大変な時間と手間がかかるからだ。動物アレルギー検査を行って、「このたんぱく質には強い反応がある」と分かれば、結果的に時間・費用の節約になるので、選択肢として飼い主に提案しやすい。

 飼い主としては「検査をすれば結果が早く出ていい」と思ってしまいそうだが、ネックは検査費用が高額なこと。「全種類で3万5000円ほどかかる。リンパ球反応試験だけでもできるが、動物アレルギー検査はアレルギーの治療をどう進めていくかという診断手段が3つすべてそろっているため、全種類行うのが望ましいと考えている」(神宮司氏)。

 検査結果を受けて食事の除去試験でうまくいかない場合、食事のコントロールだけでなく薬物療法とスキンケアで皮膚のコンディションを整えていく。「検査の進化も意味があるが、治療で一番時間がかかって重要なのは、飼い主とのコミュニケーション」と神宮司氏。かなり地道で長くかかる治療だが、最も成果が出やすいやり方でもある。

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