ジョン・ハンケCEOに聞く IngressとポケモンGO開発のこだわり(日経トレンディネット)



 米Googleの社内ベンチャー、ナイアンティックラボがリリースし、2015年には世界的にヒットしたスマートフォン向けゲーム『Ingress(イングレス)』。グーグルマップをベースにしたゲーム内のフィールド上で、青(レジスタンス)と緑(エンライテンド)に分かれたプレーヤーが陣取り合戦を繰り広げる。ゲーム内に設置してある陣は、実際にある名所を利用しており、実際にその場所に移動しないと接触することができないのが特徴的だ。読者の中には、ハマった、もしくは今でもハマっている人もいるだろう。

【関連画像】「ミッションデイ」のアフターパーティーでの記念撮影

 後に、米ナイアンティック(ナイアンティックラボがGoogleから独立後の社名)が開発した『ポケモンGO』がリリースされると、ポケモンという人気キャラクターを使った親しみやすさから人気が沸騰。ナイアンティックの話題はIngressからポケモンGOへ移ってしまったように感じる人も多いのではないだろうか。

 しかしながらまだまだコアなファンが多く残っており、地道な活動で根強い人気を誇っている。先日、福岡で開催されたリアルイベントの「ミッションデイ」と「シャードバトル」では、3000人以上の参加登録者があり、大いに盛り上がった。

 イベントにはIngressやポケモンGOの生みの親である米ナイアンティックのジョン・ハンケCEOや、2018年10月から放映予定のアニメ『イングレス』のプロデューサーの石井朋彦氏、監督の櫻木優平氏も駆けつけた。ジョン・ハンケ氏と石井プロデューサー、櫻木監督にIngressやポケモンGOなどナイアンティックが誇る位置ゲームの今後の展望を聞いた。

大事にしているのゲームデザインとコミュニティー

 ジョン・ハンケ氏は、まずナイアンティックラボを設立してからの8年間を「ナイアンティックラボから実験的なことを行うことを考えていました。商業的なものでなく、何ができるのかを模索していました。マップやAR関連がそうです」と振り返った。

 その上で、同社がIngressやポケモンGOといったゲームを作るときの理念について、「ARなどの話というと、技術的な話に終始しがちですが、ナイアンティックとしては大事にしているのはハードスペックではなく、プロダクトのゲームデザインです」と言い切る。「以前、任天堂のファミリーコンピュータの開発者と話をする機会があり『枯れた技術の水平思考』の話を聞いたとき、同じような理念を感じました。最新の技術ではなく、今の技術でどのようなことができるのか、見せられるのかを重視しています」と語る。

 ハンケ氏が言うように、ARという技術において、ナイアンティックが使用している技術よりも先進的な技術は世の中にあふれている。しかし、ARをどうやって活用するかという点に置いては、いまだにIngressやポケモンGO以上のものは見当たらないと言っていいだろう。

 ゲームデザインと同様に重視しているのが、コミュニティーの力だ。SNSなどが発達した現在、オンライン上ではコミュニティーが作りやすくなった。一方で、インターネットだけを媒介とするコミュニティーは、ネガティブな印象を持たれることも多い。その対抗として、リアルな世界でもコミュニティーに参加できる場を作っているのがナイアンティックだ。

 「先進の技術だけに頼らないゲームデザインと同時に、ナイアンティックをユニークなものにしている要因の1つにコミュニティーがあります。地元の人とコラボレーションすることで、Ingressと地元の人とのコミュニティーを形成できています。しかも、AR技術を使うことで、コストをかけずにその地元の良さもアピールできる。以前でしたら、そこに集客するための施設やスポットを建てたりしなくてはならず、コストが膨大にかかってしまっていました」(ハンケ氏)

 例えば、2017年11月に開催されたポケモンGOのリアルイベント「Pokemon GO Safari Zone in 鳥取砂丘」には、約8万9000人が参加し、18億円の経済効果があったという。今回の福岡のIngressイベント「ミッションデイ」も、戦国時代の武将・黒田官兵衛の歴史を掘り下げることがテーマとなっており、地元の良い場所を見つけられるようなゲームデザインになっていた。「Ingressを通じて、日本各地に人を運べるようにしたい」とハンケ氏は話す。

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