10万円イヤホンは10倍いい音がするのか? 湯浅の穴(日経トレンディネット)



 演奏活動でメシを食っていたこともある、音楽とITにはちょっとうるさいライターの湯浅英夫氏が、自分がハマった物について、そのハマった穴を解説していく。

【関連画像】AKGのイヤホン「N5005」

 いいイヤホンが欲しいと思ったとき、いくらまでお金を出せるのか? 人によって違うと思うが、筆者の場合は自分の経済状態と音の好みの両面から導き出した価格帯は1万~1万5000円だ。2万円を超えるとかなり思い切りが必要になり、3万~4万円クラスになると店頭で“買おう! いや、やっぱりやめた……”を繰り返して挙動不審になってしまう。このあたりが自分の限界なのだろう。

 現在、完全ワイヤレスイヤホンでは2万円台の製品も使っているが、有線のイヤホンで使っているのは1万円前後の製品だ。音はまずまず満足しているし、1万円なのでたとえ紛失しても1週間くよくよするぐらいで済む。このクラスの製品が自分には合っているだろうと思っていた。

 そんな思いを破壊してくれたのが、実売価格10万円前後のAKG「N5005」。オーディオの世界は上を見ればキリがないが、筆者がこれまで手にしてきたイヤホンのなかでは最高額の製品だ。

 AKGは70年以上の歴史を持つオーストリアの音響機器メーカーで、スタジオや放送局向けのマイクやヘッドホンなどで知られる。一般ユーザー向けにもヘッドホンやイヤホンを多数発売していて、家電量販店などでもおなじみのブランドだ。        

 N5005はそのAKGのイヤホンの中でも、最上位モデルに次ぐ高級ラインの製品になる。音がいいのはもちろんだが、それ以上に面白いのが自分で音をチューニングできる機能や、ケーブルを交換してワイヤレスでも使える機能だ。その音と面白さがかなり気に入ってしまった。

1台2役の高級イヤホン

 N5005はパッケージからして1万円のものとは違う。まず箱が大きく豪華だ。

 付属品は多い。イヤホン本体はMMCX端子を使ったケーブル交換式になっていて、交換用ケーブルとして、普通のイヤホンジャックに取り付けるための3.5㎜ステレオミニプラグが付いたリモコン付きツイストケーブル、バランス接続用の2.5㎜ツイストバランスケーブル、ワイヤレスイヤホン化して使うためのBluetoothケーブルなどが付属する。ケーブルは耳掛け式で、カーブが付けられている。下の写真には入っていないが、日本向けにはそのほかAKG純正アップグレードリケーブル「CN120-3.5」も付属する。

 スマートフォンで聴くときは3.5㎜プラグが付いたケーブルで、バランス接続端子のあるオーディオプレーヤーで聴くときはバランスケーブルで、スマートフォンを持って外出するときはBluetoothケーブルを使ってワイヤレスイヤホン化して聴くといった使い分けができる。有線とワイヤレスの1台2役、または用途に合わせて1台3役の働きをするわけだ。2~3台分の価格と考えれば10万円は高くはないような気がしてくる。

 高価なこともあってか、持ち運びには自然と気を使ってしまう。ある程度高いイヤホン・ヘッドホンには運搬用ケースが付属するものだが、これまでは面倒でそうしたケースを使うことはなかった。しかしこれだけ高価だとさすがにケースを使おうという気になる。ケースは大きめで、本体のほかに有線接続用のケーブル1本、Bluetooth接続用ケーブル、イヤーピース1セットぐらいなら十分入れて持ち歩ける。

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